
スズキが5年ぶりに上半期の純利益減少を記録した。半導体供給の不安と為替・原材料価格の負担が業績を圧迫した。スズキは2025年4~9月期の連結決算(国際会計基準)で、純利益が前年同期比11%減の1,927億円を記録したと日本経済新聞(日経)が7日に報じた。会計基準の変更により単純比較は難しいが、4~9月基準では5年ぶりの減益だ。市場予想値(QUICKコンセンサス・1,898億円)は上回ったが、業績見通しを維持した点が投資家の失望売りを招いた。この日、株価は一時8%急落し2,017円まで下落したが、3%(57円50銭)下落の2,128円で取引を終えた。
売上に相当する売上収益は2兆8,642億円でわずかに増加した。国内の販売が3%増加し堅調だったが、インド市場は消費税引き下げ前の「購入保留」現象で6%減少した。欧州の販売も22%減少した。世界全体の販売台数は3%減少し152万台だった。営業利益は17%減の2,764億円と集計された。ドル・インドルピーに対する円高が281億円、原材料価格の上昇が239億円の減益要因として作用した。原価削減の努力でもこれを相殺できなかった。
スズキは2026年3月期の全体業績見通しを維持した。売上収益は前期比5%増の6兆1,000億円、純利益は23%減の3,200億円と予想した。業績見通しを凍結した背景には半導体調達の不安がある。最近、オランダに本社を置く中国系半導体企業「ネクスペリア」が輸出を中止し、供給の混乱懸念が高まった。オランダ政府が安全上の理由から同社を管理対象に指定したため、中国政府が報復措置として中国製品の輸出を制限したのだ。スズキの副社長である石井直己氏は「現在の生産には影響がないが、見通しは極めて不透明だ」と述べ、「代替部品への切り替えを進めている」と説明した。
一方、米国の自動車関税の引き下げはポジティブな要因として作用する見込みだ。9月中旬の米日交渉の結果、米国の日本産自動車関税が27.5%から15%に引き下げられた。スズキは当初約400億円の損失を予想していたが、今回影響額を200億円程度に下方修正した。インド政府が9月末から「物品・サービス税(GST)」を引き下げた点も好材料だ。中産階級の消費余力が弱まっている状況で、税率引き下げにより需要回復が期待される。業界では「下半期のインド市場の販売反発がスズキの今後の業績を左右する」との分析があると日経は伝えた。
















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