ロシア、ウクライナ東部の要衝陥落目前 2年ぶりの最大戦果が迫る
鉄道と道路が交差する「ドンバス西の玄関口」ポクロウスク
ロシア、兵力8倍の優位で総攻勢

ロシア軍がウクライナ東部の戦略要衝ポクロウスクの制圧を目前にしていると、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が6日(現地時間)に報じた。
ポクロウスクはドンバス地域の補給線の要であり、交通の中枢を担う都市だ。主要道路と鉄道が交差するこの地が陥落すれば、ウクライナの防衛線全体が崩壊しかねない。
ロシアにとっては、2023年5月のバフムート陥落以来2年ぶりとなる最大級の軍事的成果となる見通しだ。ポクロウスクを足がかりに、北のクラマトルスクやスラビャンスクなど残る主要都市へ進軍すれば、戦況の流れが一変する可能性もある。
開戦前、ポクロウスクは人口約6万人の小さな炭鉱都市だったが、現在は廃墟と化し、激しい戦闘が続く最前線となっている。
現地の状況はウクライナ側に著しく不利に傾いている。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、この地域でのロシア軍の兵力がウクライナ軍の8倍に達していると述べた。
ロシア軍は少人数の歩兵部隊を次々に投入してウクライナ陣地を浸食する戦術を取っており、市街地の大半はどちらの勢力にも完全には支配されていない「灰色地帯」となっている。
ロシアはこの都市を奪取するために甚大な犠牲を払っているが、ウクライナ軍によれば交戦比自体はウクライナに有利だという。前線の一部では、ロシア軍の死傷者がウクライナ軍の10倍に上るとも報告されている。ある将校はWSJの取材に対し、自らの所属旅団が「1日に50~100人のロシア兵を殺害している」と語った。
それでもロシアは圧倒的な火力と兵器量でウクライナを追い詰めている。ウクライナ軍は、上空を飛行するロシア製ドローンの数が自軍の10倍に達すると指摘。ポクロウスク市街ではほぼ毎時間、ロシア側が放った滑空爆弾が爆発しているという。
ウクライナは今、苦渋の選択を迫られている。兵力を温存するため、戦略的撤退を検討すべきだという声も強まっている。第25空挺旅団の将校は「領土を守るために人命を犠牲にしないという難しい決断が、適切なタイミングで下されることを願う」と語った。
ただし、ポクロウスクが陥落すれば、ウラジーミル・プーチン大統領にとって、ドナルド・トランプ米大統領に「ウクライナ支援は無駄だ」と訴える格好の材料となる。西側諸国の軍事支援の勢いが弱まるおそれもある。
ゼレンスキー大統領は「我々の兵士を守ることが最も重要な任務だ」と強調したが、ポクロウスクからの撤退については明言を避けた。
















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