
世界最大のメタンフェタミン(覚醒剤)生産地とされるミャンマーの麻薬団地の背後に中国企業がいると、8日(現地時間)にワシントン・ポスト(WP)が伝えた。同紙は米国と東南アジア各国の政府文書、関係者40人余りのインタビューを基に調査した結果、中国企業がミャンマーにメタンフェタミンの前駆体(原料成分)になる化学物質を輸出し、世界中に麻薬危機を引き起こしたと報じた。
中国の麻薬組織の拠点であるミャンマーのシャン州は、世界最大規模のメタンフェタミン生産地だ。国連薬物犯罪事務所(UNODC)によると、昨年東南アジア及び東アジアで押収されたメタンフェタミンは236トンで、史上最大を記録したという。同事務所は「ミャンマーのシャン州で前例のない規模のメタンフェタミンが生産・密売されている」と述べた。

シャン州は中国と国境を接した山岳地帯だ。中国の支援を受ける反政府勢力であるワ州連合軍がここを支配している。米国務省によると、同軍はビルマ共産党にルーツを持ち、幹部たちはミャンマーと中国の複数国籍で中国語を話すという。
長年同軍を取材してきたジャーナリストのパトリック・ウィン氏は「同軍は中国共産党の目を逃れ、本土を離れた麻薬組織と協力しながら麻薬犯罪に手を染め、麻薬製品が中国に再び流入しないという鉄則を設けた」とWPに語った。中国がこの問題を放置する間、シャン州は犯罪団地に転落した。同紙は「ミャンマーの若者たちが新型麻薬の実験対象になっている」とし、「村の至る所で麻薬で死亡した人々の遺体が捨てられており、10代たちが街でゾンビのようにふらつきながら歩いている」と伝えた。
シャン州で製造されたメタンフェタミンは、アジア太平洋地域を津波のように襲った。オーストラリアでは2023年から1年でメタンフェタミン中毒が21%急増した。韓国でも昨年、不法麻薬使用者が5年ぶりに60%増加し、40万人を超えた。米国務省は「アジアを襲った『メタンフェタミンの大流行』は中国企業の前駆体化学物質によって引き起こされた」と分析した。
実際、中国国営企業の子会社である「Goldlink Industry」はメタンフェタミンの原料となる塩化プロピオニル72トンをラオス経由でシャン州に送ろうとしたが、ラオスの税関に摘発された。中国湖北省にある「Wingroup Pharmaceutical」は、麻薬原料成分を石鹸やみつろうなどで偽装表示し、アリババで隠し配送した。

中国企業はメタンフェタミンだけでなく、他の麻薬にも手を出した。WPによると、中国企業の一部はフェンタニル原料を供給した容疑で米国の制裁を受けた。Wingroupは米国とカナダ、メキシコにもフェンタニル前駆体を販売して摘発され、米裁判所で関連する中国人2人が有罪判決を受けた。
米暗号通貨企業「TRM Labs」は昨年、中国の化学企業の暗号通貨取引履歴を確認し、120以上の企業が前駆体を販売していることを明らかにした。同社は「フェンタニル前駆体販売者の3分の2が他の麻薬の前駆体も販売している」とし、「西欧州ではエクスタシー、ロシアではメフェドロン、アジアではメタンフェタミンを主に広告している」と説明した。
麻薬生産の温床になった東南アジア諸国は取り締まりに乗り出したが、効果は薄い。 タイ麻薬取締委員会事務局(ONCB)の局長であるプリン・メカナンダ氏(Prin Mekanandha)は「中国からの化学物質はメタンフェタミンとは無関係な用途にも使われる可能性があり、麻薬との関連性を証明するのが非常に難しい」と嘆いた。メカナンダ局長は「だからといって中国に化学物質輸出規制強化を求めるのは難しい。タイは米国とは違って小さな国だから」と付け加えた。
オーストラリアのシンクタンク、オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)の国家安全保障担当であるジョン・コイン氏(John Coyne)は「中国の犯罪組織がなければ、東南アジアでメタンフェタミンを商業的に生産することはできなかっただろう」とし、「これを制限するのは全て中国共産党にかかっている」と述べた。















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