
ロッキード・マーティン傘下のシコルスキーが開発中の「世界最速のヘリコプター」である「シコルスキーX2」のシミュレーション操縦桿を握った瞬間、思わず感嘆の声が漏れた。既存のヘリコプターの機動方式とは全く異なっていた。上下左右に操縦桿を動かすたびに、滑らかで素早く曲がる軌道はスポーツカーのような感覚だった。機体が非常に敏感に反応して方向を変えるため、操作が難しいと感じるほどだった。シコルスキーの社長Sであるリチャード・ベントン氏(Richard Benton)は「飛行機のようなヘリコプターを作ろうとした」と説明した。
専門家らはドローン(無人機)が台頭すればヘリコプターの役割が「戦場の拠点」へと進化すると見ている。航続距離でドローンの限界が明確だからだ。ヘリコプターがドローンを発進・回収するプラットフォームになり、複数の無人機と有人機を同時に制御する指揮ハブとしての機能が拡大すると米防衛産業企業は予想している。空母が戦闘機の作戦範囲を拡大するように、ヘリコプターからドローンを発射して目標を探索・撃墜し、同時に戦場データを統合管理する作戦を展開できるという分析だ。
これを可能にする核心技術が「フライ・バイ・ワイヤ(FBW)」、つまりソフトウェア(SW)ベースの自律飛行制御技術だ。ベントン社長は「ドローンと共に作戦範囲を拡大し、より広い領域で同時に作戦を遂行する能力が必要になった」と述べ、ヘリコプターの戦術的運用の変化を予告した。X2という名前自体が「速度が2倍」という意味だという。人類史上最も賢く、最速のヘリコプターだ。
FBWはヘリコプターの操縦方式を完全に変えたシステムだ。従来のヘリコプターは操縦士がスティックとペダルを動かして機械式装置を通じてローター(翼)を制御していた。FBWはこの物理的接続を電気信号に置き換える。操縦士が入力した内容が飛行制御コンピュータに伝達されると、コンピュータは風速、振動、機体傾斜などの各種センサーデータをリアルタイムで計算し最適な命令を出す。操縦桿の代わりにSWがヘリコプターを操縦することになる。
防衛産業界の関係者は「操縦士が行うべき判断と操作のかなりの部分を機体が自ら行うことになる」とし、「AIが操縦士のパートナーとして機能するレベルに達した」と述べた。FBWの利点は安定性と拡張性だ。機械式装置より反応速度が速く、エラー率が低い。














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