共和党内からも懸念の声…政権、今後は物価問題に重点

昨年の大統領選で「庶民生活の立て直し」を掲げて当選したドナルド・トランプ米大統領が、足元の物価問題をめぐり苦しい立場に置かれていると、米紙『ニューヨーク・タイムズ(NYT)』が10日(現地時間)報じた。
同紙によると、トランプ大統領は先週の地方選挙で民主党が「物価引き下げ」を前面に掲げて勝利したことを受け、物価問題での主導権を奪われたとの不満を募らせている。しかし、依然として主導権を取り戻すのに苦戦しているという。
トランプ大統領は7日、ハンガリー首相との会談後、『NBCニュース』の記者から今年のウォルマート店舗における感謝祭用食材セットの価格について質問されると、「フェイクニュースだ」と反発した。物価に関する指摘が出るたびに感情的な対応を見せている。
トランプ大統領は、ウォルマートが毎年販売する感謝祭向けミールキットの価格が前政権(バイデン政権)時より25%下がったとし、「物価は民主党に不利な争点だ」と訴えてきた。
しかし、今年のミールキットは昨年より内容品目が減っており、一部のブランド品がウォルマートの自社ブランドに置き換えられていた。記者がこうした点を指摘すると、トランプ氏は不快感をあらわにしたという。
トランプ大統領は「私が物価について語りたくないのは、バイデン時代よりもトランプ政権下のほうが物価がはるかに低いことをみんなが知っているからだ」と述べた。
しかし、最近の大統領は物価について一貫したメッセージを打ち出せておらず、一般国民の生活実感と乖離しているとの批判も出ている。
地方選挙を前に、トランプ大統領はアジア歴訪に出ていたが、その間、政府閉鎖の長期化により数千人の連邦職員が給与を受け取れず、数百万の低所得世帯では食費支援が途絶えかねない状況にあった。
それにもかかわらず、大統領は帰国後、フロリダ州マー・ア・ラゴの私邸で『グレート・ギャツビー』をテーマとした盛大なパーティーを開いた。
さらに、ホワイトハウス内のリンカーン・バスルームを大理石と金色調の装飾で改装し、その写真をSNSに投稿して誇示したことも、民主党側からの批判を招いている。

昨年の大統領選でトランプ氏が勝利した主要な要因は「経済」と「移民」だった。
トランプ氏は前政権下で高騰した物価を引き下げると約束し、就任後は「インフレは沈静化しつつあり、ガソリン価格は1ガロン2ドル(約308円)に近づき、食料品価格も大幅に低下した」と主張してきた。
しかし、『NYT』はウォルマートのミールキットの例を挙げながら、トランプ政権も前政権と同様に、国民の生活実感とかけ離れた統計を根拠に経済政策を正当化しようとしていると批判した。
最新の政府統計によれば、インフレはなお沈静化しておらず、食品価格はトランプ氏の就任後もむしろ上昇している。現在1ガロン約3ドル(約463円)程度のガソリン価格が政権の政策の結果として低下したものかどうかについても、専門家の間で見解は分かれていると同紙は伝えている。
『ワシントン・ポスト』と『ABCニュース』、イプソスが10月24〜28日に実施した世論調査では、回答者の71%が「食費は1年前より増えた」と答え、さらに59%は物価上昇の責任はトランプ大統領にあると回答した。
大統領の強固な支持基盤「MAGA(米国を再び偉大に)」陣営の内部からも、物価に対する懸念が上がり始めている。
ジョージア州選出の共和党保守派、マージョリー・テイラー・グリーン下院議員は『CNN』のインタビューで、「食料品も電気代も1年前より高い。物価は問題だ」と述べた。
政権幹部らは連日「経済は回復基調にある」と説明しているが、一部には、大統領が国民を説得するための取り組みを強化する必要があるとの認識もある。
ジェームズ・ブレア大統領副首席補佐官は先週の『ポリティコ』のインタビューで、「大統領は今後数カ月、物価についてより多く語ることになる」と述べた。
ブレア副首席補佐官は「大統領は今何が起きているのかを非常によく理解しており、経済を立て直すには時間がかかることを、他の人々と同様に認識している」と述べた。
実際、トランプ大統領は最近、物価対策を前面に押し出しつつある。大統領は7日夜、法務省に対し、食肉加工大手による牛肉価格の談合疑惑を調査するよう指示した。
8日には、健康保険補助金を保険会社経由ではなく国民の個人口座へ直接支給する案を発表。9日には、関税収入の一部を高所得層を除く全米国民に1人当たり2,000ドル(約31万円)の「配当」として還元する構想を示した。















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