エネルギー企業不正の主犯とされ波紋拡大
エネルギー相・法相も関与疑惑で辞任

ウクライナのエネルギー企業をめぐる巨額の横領・贈収賄スキャンダルに関連し、エネルギー相と法相が12日(現地時間)、そろって辞任した。ゼレンスキー政権の中枢にいた側近が不正の主犯格として浮上し、ウクライナ戦争以降で最大規模の政治スキャンダルに発展している。
AFP通信などによると、辞任したのはヘルマン・ハルシチェンコ法相とスビトラーナ・フリンチュク エネルギー相の2人であるという。いずれもゼレンスキー大統領の側近として知られ、ビジネスパートナーでもあるティムール・ミンディチが主導した総額1億ドル(約155億円)規模の資金流用に関与した疑いが持たれている。
ウクライナ国家汚職対策局(NABU)と特別汚職対策検察(SAPO)は11日、ミンディチら7人を立件し、うち5人を拘束した。しかしミンディチ本人はすでに国外に逃亡したとみられる。ゼレンスキー大統領が両閣僚の辞任を求めた直後、2人は速やかに辞表を提出した。
捜査当局によれば、ウクライナ原子力公社エネルゴアトムの幹部らが協力企業から政府契約額の10〜15%にあたるリベートを受け取り、1億ドル(約154億円)規模の資金洗浄を行っていた疑いがある。ミンディチを含む政財界の有力者がこうした不正を後押ししたり、黙認していたとの見方が強い。
特に、ハルシチェンコ法相は前職のエネルギー相として在任した4年間に、ミンディチから「個人的利益」を受け取っていたと捜査側は主張する。ミンディチは、ゼレンスキー大統領がコメディアン時代に立ち上げた制作会社「クヴァルタル95」の共同創業者としても知られる。
ゼレンスキー大統領は同日、テレグラムで「停電とロシアの攻撃で苦しむ中、エネルギー分野に不正が残っていることは到底受け入れられない」と述べた。一方で、ミンディチとの関係には触れなかった。
ウクライナはEU加盟へ向けて腐敗撲滅を急ぐ一方、ロシア軍の空爆により電力網の被害が深刻化している。こうした状況下で大規模な不正が発覚したことで、政権への不満と政治不信が広がっていると海外メディアは伝えている。















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