
ドナルド・トランプ米大統領の指示により、米国の「国防総省」を「戦争省」に改名する作業に、最大で約3,000億円近い費用がかかる可能性があるとの試算が示されたと、米『NBC』が12日(現地時間)に報じた。
米議会の共和党・民主党関係者らの情報筋によると、国防総省を「戦争省」に改名する作業には、最大で約20億ドル(約3,100億円)がかかると見込まれている。
改名作業には、全世界の米軍基地にある数千の看板や横断幕、名称が印刷された公式書簡用紙、バッジなど、すべての物品の「国防総省」の表記を「戦争省」に変更する作業が含まれる。看板や書簡用紙の交換だけで、約10億ドル(約1,550億円)かかるとされる。また、省の内部・外部ウェブサイトや、機密・非機密システムに関連するコンピュータソフトウェアのデジタルコードを再構築する作業に、最も多くの費用がかかると推定されている。
ただし、ショーン・パーネル国防総省報道官は、名称変更に伴う費用の最終試算はまだ完了していないと説明しており、その理由について、連邦政府のシャットダウン(一時的業務停止)による影響だと述べた。
パーネル報道官は声明で、「戦争省はトランプ大統領の命令に従い、改名作業を積極的に進めており、この名称を恒久的なものにする」とした上で、「民主党によるシャットダウンの影響で、核心的な民間職員が休暇中のため、最終的な費用の試算がまだ決まっていない」と説明した。
トランプ大統領は9月、国防総省を「戦争省」に改名する大統領令に署名した。
この大統領令により、ピート・ヘグセス国防長官ら国防総省所属の当局者は、「戦争省長官」や「戦争省」、「戦争省副長官」といった補助的名称を、行政府内の公開コミュニケーションや公式文書、儀礼的な場面で使用することが認められた。
国防総省は大統領令発効直後、ホームページのアドレスやSNSアカウント名を迅速に「国防総省」から「戦争省」に変更した。また、ヘグセス長官室の外部名札も「国防総省長官室」から「戦争省長官室」に改められた。
ただし、名称変更には米議会の承認が必要なため、現在の「戦争省」はあくまで「国防総省」の補助的名称に過ぎない。数十億ドル規模の費用がかかることについて、米議会では批判の声も上がっていると、NBCは伝えた。
民主党のティム・ケイン上院議員(バージニア州)は、国防総省の改名を一種の「コスプレだ」と指摘し、「この省は議会によって『国防総省』として正式に指定されている」と述べた。また、共和党のランド・ポール上院議員(ケンタッキー州)は、今回の改名が戦争を肯定的に印象付ける可能性があるとして公然と批判してきたと、NBCは伝えた。
米国の歴史の中で「戦争省」は1789年から150年以上にわたり存在していた。その後、ハリー・S・トルーマン元米大統領が1947年に戦争省を陸軍と空軍に分離させ、独立して運営されていた海軍を統合する形で「国防総省」に改称した。















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