
ロシアは、米国とウクライナが策定を進めている新たな和平案について、ウラジーミル・プーチン大統領とドナルド・トランプ米大統領が合意したアラスカ首脳会談の「精神」に反する内容であれば、情勢は根本的に変わるとして、受け入れを拒否する可能性を示唆した。
25日(現地時間)、『CNN』と『フォックス・ニュース』によると、セルゲイ・ラブロフ外相は記者会見で「我々は、トランプ政権によって修正された最新の和平案を待っている」と述べ、「中核合意の『精神と文言』が失われれば、全く異なる局面になる」と強調した。
ラブロフ外相が言及した「中核合意」とは、今年8月、米アラスカ州アンカレッジで行われたトランプ大統領とプーチン大統領の首脳会談で導かれたもので、ロシアはこれを終戦交渉の基礎としている。
同外相は「当時の合意はすでに文書化されたものと理解していたが、その後は協議が停滞していた」とした上で、「新たな文書が提示されたものの、依然として不明確な点が多い」と付け加えた。
ウクライナのNATO加盟拒否、ドンバス割譲要求を堅持

ラブロフ外相は、ロシアが交渉過程においても依然として「最大限の要求」を維持していることを強調した。具体的には、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟断念と、ドンバス(ドネツィク、ルハーンシク)地域における残る領土の割譲を求めている。
ワシントンのシンクタンク、民主主義防衛財団(FDD)のジョン・ハーディー副所長は、「ロシアの非妥協的な姿勢が、過去10カ月にわたるトランプ政権の外交努力における最大の障害となってきた」と指摘した。
ダン・ホフマン元中央情報局(CIA)モスクワ支局長も、「プーチンは交渉を通じてロシアの優位を確立しようとしているだけで、侵攻を止める意思はない」として、終戦に否定的な見解を示した。
ニューヨーク・ポスト「ロシア、19項目和平案も拒否へ」
ニューヨーク・ポストは匿名の情報筋を引用し、「ロシアは、米国とウクライナが調整した19項目からなる修正和平案についても、拒否する可能性がある。」と報じ、「このため、戦争は少なくともクリスマス以降まで長期化する可能性が高い」と伝えた。
この和平案は、先に物議を醸した28項目案を修正したもので、ロシア寄りとの批判を受け、米国とウクライナが一部条項を調整したとされる。
しかしラブロフ外相は「トランプ大統領の原案から逸脱する提案は、ロシアの支持を得られない」と述べ、従来の立場を改めて強調した。
米・ウクライナ高官協議後にまとめられた修正案には、軍規模の縮小、NATO加盟放棄、領土調整といった極めて機微な問題が盛り込まれており、ウクライナ国内でも強い反発が広がっている。
「交渉は見せかけにとどまる恐れ」…美欧の懸念拡大

『CNN』は今回の局面について、「プーチンはトランプ大統領を相手に時間稼ぎに終始している」と分析した。報道によれば、ロシアは交渉を引き延ばすことで米国の制裁執行を遅らせ、外交面ではトランプ政権に「進展している」と誤認させる狙いがあるという。
『CNN』はまた、「ラブロフ発言は、ロシアがアラスカ首脳会談の解釈を自国に有利に掌握し、交渉主導権を米国からロシア側へ引き戻そうとする意図を示している」と指摘した。
ロンドンのシンクタンク、王立国際問題研究所(チャタムハウス)のオリシア・ルツェビッチ副所長は「プーチンは制裁の効力を遅らせるため交渉を引き延ばし、トランプ政権に依然として『進展中』であると信じ込ませている」と語った。
特にロシアは、欧州を交渉の場から排除しようとする動きも見せている。ラブロフ外相は「欧州は今回の交渉から排除されるべきだ」と述べ、2014年のミンスク合意を引き合いに「当時機会を逃した欧州に再び仲介の資格はない」と批判した。
ワシントンのシンクタンク、戦争研究所(ISW)は「ロシアが欧州の仲介努力を『非生産的』と非難するのは、自国の拒否姿勢を覆い隠すための典型的な目くらましの戦術であり、NATO内部の分裂を強調しようとする意図も見え隠れする」と指摘した。
専門家らは「今回の交渉は実質的な終戦ではなく『時間稼ぎ外交』に終始する可能性が高い」とし、「ロシアは表面的にのみ交渉を維持し、年末まで戦況を引き延ばす恐れがある」との見方を示している。交渉そのものの推進力が低下するとの懸念も強まっている。














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