
ドイツとポーランドなど主要欧州諸国が国防力を大幅に強化している。ウクライナに次いでロシアの標的になる可能性があると懸念されているためである。
欧州の代表的な国防大国であるドイツは、今年初めの「ドイツ軍を欧州で最強の通常戦力にする」というフリードリヒ・メルツ首相の約束に基づき、軍事改革を加速させている。23日(現地時間)CNNによると、ドイツ連立政府は兵力増強を目指し新たな徴兵法案を推進中である。法案は2011年に廃止された徴兵制を部分的に復活させ、2035年までに現役兵力を18万人から26万人に、予備軍を20万人規模に拡大する内容を含んでいる。
自発的入隊を促すためインセンティブも強化されたという。月給は従来より450ユーロ(約8万1,271円)増の2,600ユーロ(約46万9,546円)に設定された。来年からすべての18歳男性は軍務への関心を問うアンケートを受け取る。2027年からは義務健康診断を受けなければならない。

ドイツの再武装の動きは欧州の新たな標準となりつつある。英国王立のシンクタンク『チャタムハウス』に所属する研究員、ミナ・オランダー氏はCNNに「ドイツは地理的に欧州の中心に位置し、通常戦力防衛で重要な役割を果たす潜在力が大きい」と述べ、「計画が実現すれば、欧州全体の安全保障に大きく貢献する」と語った。ドイツのボリス・ピストリウス国防相も「ベルリンの新徴兵制モデルは非常に現代的で、他の欧州同盟国の模範となりうる」と強調した。
ただし、兵力増強が現実化する時期が2030年代にずれ込むとの見方もある。限られた予算問題と、義務兵役制導入で若者層が極右・極左に分裂する可能性があるという政治的リスクが指摘されているためである。

北大西洋条約機構(NATO)軍の規模で欧州内3位のポーランドもロシアの脅威に積極的に対応している。ポーランド政府は全国民を対象に無料の週末軍事訓練プログラムを開始したと「DW通信」が22日伝えた。訓練には消火安全対応、防毒マスクの使用法、サバイバル術、基本的な戦闘技術などが含まれる。この計画は2027年までに40万人の民間人訓練を目指している。
同日、ポーランド軍はウクライナ近隣の領空を守るため戦闘機を緊急配備したという。レーダー探知、監視システム、地上防空部隊を「最高警戒態勢」に置いたとされる。ポーランドはすでに国内総生産(GDP)の4%以上を国防費に充て、欧州最高水準の軍事支出を続けている。
欧州連合(EU)は今週、国境を越えた軍の移動を容易にし、防衛産業の生産を拡大する計画を含む「防衛産業ロードマップ」を発表する予定だ。EUは防衛投資拡大のため1,500億ユーロ(約27兆888億4,255万円)規模の融資制度を運用中で、融資を通じて購入する武器構成品の35%以上が域外から調達されないよう制限を設けている。

欧州諸国の再武装の背景にはロシアの脅威がある。最近、ポーランドの鉄道爆発、EU選挙期間中の偽情報拡散、オランダの空軍基地・ベルギーの空港・フランス上空での正体不明のドローン出現など、欧州諸国を狙った事件が相次いで発生した。欧州当局と各国政府は直接的証拠がないためロシアを名指しすることは控えているが、背後にロシアがいると疑っている。欧州の不安定化を狙ったロシアの「ハイブリッド戦」の一環だという。ハイブリッド戦とは、偽情報拡散からサイバー攻撃、軍事作戦まで様々な手法を組み合わせた戦争を指す。
ウルズラ・フォン・デア・ライエンEU委員長は先月の欧州議会演説で「ロシアが欧州に対して『ハイブリッド戦争』を仕掛けている」と述べ、「ロシアの目的が欧州に『分裂の種をまこうとしている』ことは明らかだ」と主張した。スウェーデン軍参謀総長のマイケル・クラーソン氏も今月23日、「フィナンシャル・タイムズ(FT)」とのインタビューで「ロシアが西側の政治的二極化を利用して『ハイブリッド戦争』を展開し、NATOの結束を揺るがしている」と述べ、「ロシアはインフラ攻撃、情報戦、選挙介入まで組み合わせて西側の分裂を狙っている」と警告した。













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