
米国のドナルド・トランプ大統領の「解放の日」関税政策以降、世界経済は成長鈍化の衝撃が避けられないとの見通しが優勢だったが、大規模なAI(人工知能)投資ブームがグローバル景気の萎縮をかなり相殺していることが明らかになった。
Newsisの報道によると、30日(現地時間)のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、世界貿易機関(WTO)は10月の報告書で今年の世界の商品貿易増加率の見通しを2.4%に上方修正したという。これは8月に示した0.9%から大幅に上昇した数値だ。国際通貨基金(IMF)も同月、今年の世界経済成長率の見通しを2.8%から3.2%に上方修正した。
両機関は上方修正の背景として、今年の技術企業がAIに投じた莫大な投資を共通して指摘した。Amazon、Google、Meta、マイクロソフトなどのビッグテック4社だけでも、今年AIインフラ構築のために約4,000億ドル(約62兆2,539億円)に達する設備投資を実施している。
AI投資がグローバル貿易と成長を支えているが、その効果は均等に現れておらず、関税の衝撃も時間が経つにつれて本格化する可能性が高いとの分析が出ている。米国と中国を除けば、AIインフラ投資の恩恵はすでに特化したAI供給網に組み込まれた一部の国と地域に集中しているとの指摘がある。
代表的な恩恵国は最先端AI半導体生産ハブである台湾で、IMA Asiaは台湾の設備投資増加率が今年30%に達するとの見通しを示し、国内総生産(GDP)成長率の見通しを既存の4.4%から7%に上方修正した。半導体メモリ強国である韓国と半導体設備メーカーASML本社が位置するオランダもAI好況の恩恵を受けている。
CMC Marketsのトレーダー、オリアノ・リザ氏は「今年上半期のグローバルAI関連貿易増加の約3分の2がアジアで発生した」とし、「恩恵は先端製造国に圧倒的に集中している」と述べた。
一部では関税の衝撃は一時的に遅れているだけで、消えたわけではないとの指摘も出ている。トランプ大統領の大統領選挙キャンペーンと就任初期の発言を通じて4月の関税宣言を予測した輸入業者と輸出業者は、物量を前倒しで積み込む「フロントローディング」に乗り出した。このため、今年の貿易指標が一時的に膨らんだとの分析がある。
シンガポール銀行の首席エコノミスト、マンスール・モヒウディン氏は「関税の影響が予想より小さいと言うにはまだ早い」とし、「実際の衝撃は遅れて現れているだけだ」と述べた。関税が本格的に適用され、事前に備蓄していた在庫が尽きると、企業はコストを消費者価格に転嫁し、米国向けの輸出を減らす可能性が高いとの見方が経済学者たちの共通した見解だ。
WTOもこの見方を反映し、来年の世界商品貿易増加率の見通しを1.8%から0.5%に大幅に引き下げた。ただし、主要国政府の政策対応が「関税衝撃緩衝装置」としての役割を果たす可能性もあるとの見方がある。経済学者たちはトランプ大統領が推進した減税法案が減税延長を通じて短期的に米経済を刺激すると見ており、これは輸入増加にもつながる可能性があると考えている。
ドイツは緊縮基調から脱却し、大規模な財政支出拡大に乗り出し、日本も景気刺激のために1,350億ドル(約21兆14億円) 規模の追加の景気対策を承認した。モヒウディン氏は「このような政策支援にドル安、米連邦準備制度理事会(FRB)の金利引き下げの可能性が絡むなら、AI好況が続く限り来年までグローバル経済が大きな衝撃なしに耐えられる」とし、「投資家の観点から見れば、現在の環境は依然として悪くない」と評価した。















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