
米国が国際緊急経済権法(IEEPA)を根拠に課してきた相互関税が米連邦最高裁の最終審で無効と判決されても、他の法的権限を活用して年間約2,000億ドル(約31兆1,370億円)に達する関税収入を再創出できると米通商代表部(USTR)のジェイミソン・グリアー代表が10日(現地時間)に明らかにした。
グリアー代表はこの日、ワシントンD.C.に本部を置くシンクタンクの「アトランティック・カウンシル」が主催した公開イベントで「IEEPAによる年間税収が2,000億ドルに達すると予想されているが、訴訟に負けてもこの程度の収益を創出できるのか」という質問に「そうだ」と答えた。
米連邦最高裁はIEEPAを基にドナルド・トランプ米大統領が課した相互関税の違法性を審理中だ。第一審、控訴審ともに大統領が議会の課税権を侵害したとして違法と判断した。最終審判決は来年初め頃になると予想されている。グリアー代表はIEEPAの代替計画についての質問に「トランプ大統領と彼の政策スタッフは初任期から貿易関連の目標を達成するために様々な手段を模索してきた」とし、「議会が大統領や他の機関に措置を取ることを委任した法的権限が多くある」と述べた。
続けて「鉄鋼、アルミニウム、自動車などに関する(貿易拡張法)232条の措置は今回の訴訟の対象ではなく維持される。(不公正貿易慣行を根拠に関税を課す)貿易法301条についても知っているだろう」とし、「ある人々は貿易法122条について話しているが、これは国際収支に関する権限だ。これらすべてが議論されている」と説明した。それでもグリアー代表は「法律顧問から代替計画について明らかにしないよう厳しい指示を受けた」とし、言葉を濁した。
IEEPA関税が無効になる場合、企業に対する大規模な還付が発生する可能性があるとの指摘に対してグリアー代表は「その問題は財務省と税関・国境警備局(CBP)の所管だ」とし、具体的には言及しなかった。彼は「前日CBP長官が私の事務所に来ていた」とし、「どう進展するか気になるが、どうなるかはわからない」と述べた。
グリアー代表はトランプ政権の対中貿易政策の方向性について「中国との関係で最も理想的な方向はよりバランスの取れた貿易を行うことだ」とし、「我々はこれを管理しなければならないと考えている」と明らかにした。続けて「トランプ大統領が中国との建設的な関係構築に非常に集中しているという点を認めることが重要だ」とし、「中国と米国の間で双方に利益があり、公正にバランスの取れた商品とサービスの交換のための手段を見つけるために集中している」と付け加えた。
最近の米国と欧州連合(EU)間のデジタル規制の対立については「EUの全く抑制されていない態度に失望した」と述べた。7月に両者は米国の技術企業に対する差別的措置を自制することで合意したが、EUは最近イーロン・マスクCEOのSNSプラットフォーム「X(旧Twitter)」に対して巨額の罰金を科し、トランプ大統領もこれを「悪質な措置」と批判した。
グリアー代表は「他国の規制体系や主権を制御しようとしているわけではない」とし、「しかし我々の企業に対しては我々が規制するということだ」と主張した。彼は「EUが自分たちだけのチャンピオン(ビッグテック)がいるならまた話が違う」とし、「私が言えることは規制の外注化を許さないということだ。EUともっと建設的な議論を持てることを願っている」と述べた。















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