地球周回軌道の衛星増加で事故リスク拡大 国際協調の必要性を指摘

イーロン・マスク氏が率いる宇宙企業スペースXのスターリンク衛星1基が軌道上で破損し、一部の破片を放出した。
スペースXは18日(現地時間)、スターリンクのX(旧ツイッター)公式アカウントへの投稿で、17日にスターリンク衛星35956号が異常を起こした後、高度418kmで同衛星との通信が途絶えたと明らかにした。
同社は、異常の発生に伴い推進剤タンクからガスが放出され、相対速度の低い追跡可能な物体が少数放出されたと説明した。米宇宙軍や米航空宇宙局(NASA)と連携し、これらの物体を監視しているという。
原因は不明だが、衛星が破損したことで破片が宇宙空間に散らばり、同社は動向を追跡している。
スペースXは、機体の一部は残っているとみられるものの、数週間以内に地球大気圏へ再突入して完全に消滅する見通しだと説明した。現在の軌道から判断して、国際宇宙ステーション(ISS)の設備や滞在中の宇宙飛行士に危険を及ぼす状況ではないとしている。
同社は、世界最大の衛星運用事業者として宇宙の安全確保に強く責任を負っているとした上で、今回の事案を重く受け止めていると強調した。エンジニアが異常の根本原因の特定と影響の抑制に向けて作業を急ぐ一方、同種事案への耐性を高めるソフトウェアを衛星に順次配信しているという。
スペースXが広帯域インターネット通信サービス向けに打ち上げたスターリンク衛星は、1万基を超える。
宇宙追跡企業レオラブズ(LeoLabs)は、今回の事故に伴う破片とみられる物体を数十個検知したと、ロイター通信が伝えた。
こうした破片は、軌道上を周回する他の人工衛星にとって脅威になり得る。専門家の間では、近年、各国や企業が競うように通信・偵察衛星を打ち上げた結果、地球周回軌道の衛星数が急増し、衝突などの事故リスクも高まっているとの指摘が出ている。
スペースXのスターリンクエンジニアリング担当副社長、マイケル・ニコルズ氏は12日、Xへの投稿で、数日前に中国が打ち上げた衛星がスターリンク衛星の約200mまで接近する事案があったと明らかにした。
ニコルズ氏は、中国側の衛星打ち上げに際し、宇宙で運用中の既存衛星との運用調整や衝突回避(デコンフリクション)が行われていなかったと指摘した。その上で、宇宙で生じるリスクの大半は衛星運用者間の協力不足に起因しており、改善が不可欠だと訴えた。
















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