
米与党・共和党が上院と下院で相次いでドナルド・トランプ米大統領の意向に反する法案を可決したり、民主党に同調したりする動きを見せ波紋が広がっている。
支持率の低下に加え、共和党内からも異論が噴出していることで、トランプ大統領の早期レームダック(任期途中での求心力低下)が現実化しているとの見方が出ている。トランプ大統領は国民向け演説を行い、来年初めに大規模な税還付が実施されると強調した。
米上院は17日(現地時間)、2026会計年度の国防予算を9,010億ドル(約140兆6,157億2,910万3,803円)とする国防権限法(NDAA)を可決した。NDAAには、ベネズエラの麻薬関与が疑われる船舶への攻撃を巡り「生存者への二次攻撃」ではないかとの議論が生じている問題について、国防総省に映像の提出を求める条項が盛り込まれた。国防総省がこれに応じない場合、ピート・ヘグセス国防長官の出張関連予算を25%削減するとの強制規定も含まれている。また、ウクライナに8億ドル(約1,248億5,215万6,749円)を支援するなど、欧州の安全保障強化を図る内容も盛り込まれた。
これらの条項はトランプ大統領の意向と相反するものだ。トランプ大統領は二次攻撃を巡る問題について、ヘグセス国防長官は事前に把握していなかったとして擁護しており、欧州の安全保障支援にも否定的な姿勢を示してきた。上院(100議席)は共和党が53議席で多数を占めているが、民主党(47議席)と共にこうした内容を含むNDAAの可決を支持し、賛成77票で成立した。上院はトランプ大統領が検討している国防総省の名称を「戦争省」に変更するための予算は盛り込まなかった。NDAAにはまた、在韓米軍の規模(約2万8,500人)を米政権が一方的に削減することを制限する内容も含まれている。
下院でも一部の共和党議員がトランプ大統領に反旗を翻した。ブライアン・フィッツパトリック下院議員(ペンシルベニア州)ら4人が、今年末で期限を迎える医療保険制度改革法(オバマケア)の補助金を3年間延長する民主党主導の法案について、常任委員会の審査を経ずに本会議で採決するよう求める請願に加わった。オバマケア補助金の延長は、トランプ大統領が強く反対している案件で今年10月には連邦政府のシャットダウン(業務一時停止)を招くほどの重要な政治争点となっていた。そうした中で、一部の共和党議員が採決を進めようとする民主党側に同調した形だ。とりわけ、この4人が加わったことで、民主党は採決を強行できる定足数(218議席)を確保した。
米政治メディアのポリティコは「温和な性格のフィッツパトリック議員がオバマケア問題を巡るマイク・ジョンソン下院議長(共和党)の対応に反発し、共和党内の反乱を主導した」と伝えている。
トランプ大統領は同日、ホワイトハウスで行った国民向け演説で「バイデン政権と民主党が物価を前例のない水準まで押し上げたが、我々は非常に速いペースで引き下げている」と強調した。その上で、今年7月に自身の主導で米議会を通過した大規模減税法により、来年春には過去最大規模の税還付が実施されるとの見通しを示した。さらに、現役の米軍人約145万人に対し、特別給付金として「戦士配当金」を1人当たり1,776ドル(約27万7,179円)ずつクリスマス前に支給すると予告した。
















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