「米国が中国にどれほど依存しているかが露呈した1年」
「同盟国と組んで中国包囲も可能だったが、愚かにも関税を発動」

ドナルド・トランプ米大統領の就任から1年を迎え、「勝者は習近平中国国家主席だ」とする評価を、英国の時事週刊誌「エコノミスト」が示した。
同誌は最新号で、関税によって中国を屈服させようとした米国の試みは習主席に阻まれたと指摘したうえで、米国が実際にどれほど中国に依存しているかを露呈した1年だったと分析した。21世紀の覇権をめぐる超大国同士の争いにおいて、今回の局面は中国の勝ちだという見立てである。
米中の関税戦争では、米国側が希土類と大豆という弱点をさらした。高率関税に対し、中国が希土類の輸出規制や米国産大豆の輸入停止を打ち出すと、米国は和解姿勢をにじませ、最終的に両国は休戦を選んだ。
「エコノミスト」は、米国が中国に痛みを与える手段として相互関税を選んだのは誤りだったとも断じた。中国企業は厳しい環境に慣れており、民主主義国家ではないという体制上の特性もあって、米国より痛みに耐えやすいとの見方を示している。トランプ大統領には、同盟国とより緊密に協力し、中国を商業面で包囲する戦略も取り得たが、関税によって同盟国と距離を置く道を選んだと批判した。
科学分野への支援削減や、移民に対する排他的な姿勢も、中国に利する可能性がある。米国ではこの1年、政権方針に合致しない研究機関への支援を絞り、重要研究分野の資金も大幅に縮小した。ビザ政策で閉鎖的な姿勢が強まれば人材流出を招き、その分、中国が利得を得る構図になり得るという。年初に登場した中国の生成AI「DeepSeek(ディープシーク)」も、AI分野の力量を内外に示した例として挙げられた。
もっとも同誌は、短期的に中国が有利な位置にあるのは確かだとしつつ、長期的には硬直した政治体制が中国の活力を抑えかねないとも釘を刺した。2024年のノーベル経済学賞受賞者であるシカゴ大学のジェームズ・ロビンソン教授も、習主席の下で個人独裁が強まり、中国共産党は統制と権力維持に傾きがちで、革新や創造性を要する経済目標と衝突し得ると指摘したことがある。
直近の景気指標も力強さを欠く。既存住宅価格はピーク比で20%超下落し、11月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比2.2%下落して、38か月連続のマイナスとなった。













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