戦争4年目、北朝鮮の役割と今後の行方
北朝鮮「生涯、恥を背負って生きることになる」
家族に言及し捕虜に恐怖与える
米国の仲介のもと、欧州や中東、米フロリダ州マイアミなどでロシアとウクライナの停戦協議が断続的に行われている。決定的な合意には至っていないものの、4年目に入ったこの戦争がどのような形で終結するのか国際社会の関心が集まっている。
ロシア側で戦闘部隊を派遣した北朝鮮の動向は地域情勢を考える上で無視できない。ロシア西部クルスク州での作戦を終えた北朝鮮兵の帰国問題、北朝鮮軍捕虜の扱い、さらに最近明らかになった北朝鮮の少年キャンプに参加したウクライナの子どもたちの問題まで、複雑な課題が浮上している。

「韓国に行きたい」 北朝鮮軍からの手紙
「私たちは決して一人ではないと考え、韓国にいる皆さんを実の両親、兄弟のように思い、その懐に身を委ねる決心をしました」
ウクライナの収容施設で生活する北朝鮮軍捕虜2人が最近、韓国に定住する脱北者らに宛てて返信の手紙を送った。脱北者出身の政治家、太永浩(テ・ヨンホ)氏が代読したこの書簡には、脱北者からの励ましに感謝するとともに、韓国へ行きたいという切実な希望がつづられていた。
脱北者数十人は「ソウルに来たら母親にも姉にもなる」「私たちが後ろ盾になるから、何としても生き延びてほしい」といった手紙を送り、それに対し北朝鮮軍が返事を出したという。
しかし、実際には北朝鮮軍捕虜たちの韓国送還への意思は大きく揺らいでいるとされる。脱北者によると、北朝鮮は先月末、ロシアに派遣された「暴風軍団」の高級将校を対象にした講演で、捕虜について「祖国を裏切る者は犬以下であり、その家族は生涯その恥を背負って生きることになる」「戦場で選べる唯一の道は名誉ある死だけだ」と激しく非難した。特に北朝鮮に残された家族の存在を持ち出し、捕虜に恐怖心を植え付けたという。暴風軍団は北朝鮮最精鋭とされる特殊部隊である。
安燦一(アン・チャンイル)世界北朝鮮研究センター所長は23日「捕虜たちは韓国に行ければ良いと思っているだろうが、北朝鮮で『裏切り者』と見なされ、残された家族がどうなるかを恐れて心が揺れている」と指摘した。その上で「一緒に派兵された仲間の中には勇敢に戦死し『共和国の英雄』として称えられ、家族が多くの優遇を受けた例もある」と語った。

ロシアに強制移送されたウクライナの子ども、北朝鮮キャンプ参加も
ウクライナ当局としても、北朝鮮軍捕虜を直ちに韓国へ送るのは難しい状況にある。安所長は「北朝鮮軍捕虜を韓国に送還すれば、将来的な自国兵捕虜との交換交渉に支障が出る可能性があり、ウクライナ側も悩んでいる」と分析する。
ジュネーブ条約では、戦争捕虜は戦闘終結後に本国へ送還されるのが原則だ。ただし、朝鮮戦争後に約2万人の反共捕虜が北朝鮮や中国ではなく、韓国や第三国に渡った前例があり、今回の北朝鮮軍捕虜も同様の扱いとなる可能性が指摘されている。
朝鮮戦争では約10万人の戦争孤児が発生したとされるが、ウクライナ戦争では2万人から3万人の子どもがロシアへ強制移送された。米国の元大統領夫人メラニア・トランプ氏が直接、ウラジーミル・プーチン・ロシア大統領に訴えた結果、ようやく1,850人のウクライナの子どもが先月帰国できたという。
こうした中、ロシアに強制移住させられたウクライナの子ども2人が北朝鮮の「松濤園(ソンドウォン)キャンプ」に参加していた事実が最近明らかになった。2014年にロシアが併合したクリミア半島で生まれ、北朝鮮のキャンプに送られた初のウクライナ人青少年とされる。2人は昨年7月、約10日間にわたり松濤園で「ロシア化」の思想教育を受けた。海辺の保養地・元山近郊にある松涛園キャンプでは、金日成・金正日の銅像清掃やホワイトハウスを爆破する内容のビデオゲームなどが日課とされている。
ウクライナの地域人権センターは「ロシアが自国の子どもを強制移送する目的は、同じ民族同士に銃を向けさせることだ」と強調する。兄弟が北朝鮮軍と韓国軍に分かれて戦う悲劇を描いた映画『ブラザーフッド』のような構図を、教育を通じて再現しようとしているとの見方だ。

北朝鮮、戦後復興事業への参加も視野
北朝鮮は今回の派兵による利益を最大化しようとしている。金正恩北朝鮮国務委員長は8月、戦死した兵士101人の遺影に自ら勲章を授与したほか、今月12日にはロシア・クルスク州で地雷除去作業を終えた工兵部隊のために大規模な歓迎式を開催した。
戦争終結を見据え、ロシアからエネルギーや技術移転などの見返りを引き出そうとする政治的思惑があるとの見方が強い。戦闘に参加した暴風軍団は約1万2,000人が派遣され、死者600人、負傷者4,000人以上と推定されている。3か月間の地雷除去作業に従事した工兵部隊でも9人の死亡が確認されており、来年春には再派遣される予定だという。
安所長は「北朝鮮軍は特殊部隊であれ一般部隊であれ、建設や復旧作業を遂行できる熟練労働力だ」と指摘し「停戦後は戦後復興事業に参加し、外貨獲得に乗り出す可能性が高い」との見通しを示した。













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