中国系英字紙『グローバル・タイムズ』、社説で米国防総省の年次報告書を検証

中国の軍事力増強に懸念を示した米国防総省の年次報告書を巡り、中国側が強く反発している。中国系英字紙グローバル・タイムズは25日付の社説で、報告書の記述には矛盾が多く、過度な誇張によって不安を増幅させているとの見解を示した。
社説が取り上げたのは、米国防総省が公表した「2025年 中国の軍事・安全保障の発展に関する年次報告書」だ。グローバル・タイムズは、同報告書がここ数年にわたり中国の軍事力を誤って認識し続けていると指摘し、歴史的な軍備増強を過大に描写していると論じている。
また、米国本土が「より脆弱になっている」との危機感を強調する一方で、中国に関する主要議題を一貫して「挑戦」や「敵対」と位置付けている点にも疑問を呈した。こうした描き方は、中国の軍事的脅威を必要以上に強調する構図を固定化させているという。
社説はさらに、中国の軍事的脅威を誇張すること自体が、米国防総省の年次報告書では常態化しているとも指摘した。アジア太平洋地域への米国の軍事関与を正当化しつつ、中国の軍事発展が米国民の安全を直接脅かすと描く姿勢は、二重基準にほかならないとの主張を展開している。
一方で、中国の軍事費は長年、国内総生産(GDP)の1.5%未満に抑えられてきたと強調し、軍備の整備は自国の安全を確保するための正当な措置だと位置付けた。中国の国防政策は本質的に防御的であり、軍事力の拡充も国力や安全保障上の責務、国際社会における責任と整合しているという立場を打ち出している。
国連平和維持活動への貢献にも言及し、中国の軍事力発展は国際社会に公共の安全保障上の資源を提供する取り組みだと説明した。米側報告書が示すような「脅威」との評価は当たらないとの認識がにじむ。
その一方で、社説は米国防総省報告書が、現職の米大統領が米中関係の安定を重視し、戦略的枠組みを強調している点に触れたことについては、注目に値する前向きな兆候だとも評価した。
グローバル・タイムズは専門家の見解を紹介する記事も掲載している。中国の軍事専門家とされる張軍社氏は、同報告書を「いわゆる中国脅威論をあおるための信頼性に欠ける文書」と位置付け、虚偽や推測に基づく情報が多く含まれているとの見方を示した。
宋忠平氏も、米国の軍事的優位を維持する意図が色濃いとしたうえで、中国の通常の国防発展を誇張するのは根拠に乏しく、二重基準に基づくものだと批判している。
これに先立ち、米国防総省は23日(現地時間)、議会に提出した年次報告書で、中国軍の潜在的な打撃範囲が中国から1,500~2,000海里(約2,778~3,704km)に及ぶ可能性があると指摘した。米本土や米領グアム、アジア太平洋各地の米軍基地、西太平洋の海軍艦艇が危険にさらされ得るとの警告も盛り込まれている。
報告書はまた、中国の核弾頭保有数が昨年末時点で約600発とし、2030年までに1,000発を超える可能性があるとの見通しを示した。中国北部に設置された約320基の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射施設のうち、100基余りはDF-31を装填した状態にあるとの分析も含まれている。















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