米国防総省「2025年 中国軍事力報告書」
中国軍事力、米本土を脅かす水準に到達
2027年までに台湾の武力統合を目標

米国防総省は、中国の軍事力が米本土を直接脅かし得る水準に到達したとの見方を示した。中国が核兵器、サイバー攻撃、長距離の精密打撃などで近代化を進めた結果、米本土の軍事・民間インフラに脅威を及ぼし得ると評価した形だ。核戦力については、2030年までに核弾頭保有数が1,000発を超えるとの見通しも盛り込んだ。
国防総省は23日(現地時間)、ドナルド・トランプ大統領の再登板後に初めて公表した「2025年 中国軍事力報告書」で、中国の軍拡を「歴史的」と表現し、米本土が一段と脆弱になりつつあると指摘した。さらに、中国は米国の安全保障を直接脅かし得る大規模な核戦力に加え、通常戦力による長距離打撃、サイバー、宇宙といった能力を保有すると分析した。国防総省は2000年以降、毎年、中国軍の動向を評価する報告書を作成している。
報告書は、台湾を巡る中国の軍事目標にも言及した。中国は2027年までに台湾との衝突で勝利できる態勢を整えることを目標に、上陸作戦、火力運用、海上封鎖などの能力を継続的に高めているという。米情報当局はこれまで、人民解放軍の建軍100年に当たる2027年や、習近平国家主席の3期目の節目を念頭に、台湾侵攻の可能性が高まるとの懸念を示してきた。
射程面では、中国本土から1,500~2,000海里(約2,778~3,704km)離れた標的まで打撃できる能力に到達したと報告書は分析した。在韓米軍に加え、グアムなどインド太平洋の主要拠点が中国の射程に入ることを意味するという。一定規模で攻撃が行われた場合、インド太平洋における米軍の展開が深刻な影響を受ける恐れがあるとも警告した。
海軍力については、空母戦力の拡大を見込んだ。中国は2035年までに空母を現在の3隻から9隻へ増やし、11隻を保有する米国との差を縮める可能性があるとした。あわせて、中国が3か所の基地にDF-31大陸間弾道ミサイル(ICBM)を100基以上装填した可能性にも触れている。
一方で、報告書全体の表現はジョー・バイデン前政権期の文書より抑制的だとの指摘もある。分量も前年の半分に当たる100ページにとどまった。米紙『ワシントン・ポスト』は、中国との貿易協力とインド太平洋での軍事的優位確保という二つの目標の間で、トランプ政権が難しい舵取りを迫られている状況が透けると伝えた。
これに対し、中国系英字紙『グローバル・タイムズ』は25日、米側報告書は中国の脅威を誇張して不安をあおる内容だと主張し、中国の軍備増強は防御目的だと反論した。
また、中国国営テレビは19日、河南省許昌で行われた人民解放軍のウォーゲーム(模擬戦)を紹介し、メキシコやキューバ周辺で戦闘が行われる想定のシミュレーション映像も放映した。米国の近海に当たる中南米周辺でも、中国が軍事的影響力を広げる余地を示すものだとして、各方面が注視している。













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