
ドナルド・トランプ米大統領は、新年に習近平中国国家主席と計4回の会談を行う予定だ。これらの首脳会談がどのような成果を生むのかが、今後の国際政治や世界経済の行方を左右するとの見方が出ている。
トランプ大統領の第2期政権発足後、米中対立はいったん大きく激化したものの、その後は緩和の兆しも見せている。トランプ大統領は、最高で145%に達する高率関税の適用に踏み切り、対立の火ぶたを切ったが、中国側も事前に準備していたレアアースの輸出規制といったカードを切って対抗した。こうした応酬は、新型コロナウイルス感染症の流行期に浮き彫りとなった「サプライチェーンの安全確保」の重要性を、改めて認識させる場面ともなった。
この対立は、昨年10月末に韓国・釜山で米中両国首脳が6年ぶりに会談したことで、いったん休戦状態に入った。会談を受け、米国は対中関税率を引き下げ、中国もレアアースの輸出規制を1年間猶予する措置を取った。その後、両国は互いの「逆鱗」に触れない範囲を見極めながら、慎重に探り合いを続けているとみられる。
米中関係の行方を占う最初の試金石となるのは、今年4月に予定されているトランプ大統領の中国訪問だ。トランプ大統領は、中国による米国産農産物の輸入拡大など、経済問題を主な議題とする見通しだ。一方、習近平国家主席は、台湾問題をはじめとする安全保障分野の敏感な課題を取り上げる可能性が高い。
この首脳会談が円滑に進めば、習主席は今年半ばにも、米国を答礼訪問すると予想されている。訪問先がワシントンD.C.になるのか、フロリダ州のマール・ア・ラーゴになるのかは、現時点では見通せない。
両首脳はその後も、11月に中国・深圳(シンセン)で開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議と、12月に米フロリダで開催されるG20サミットの場で、さらに2回会談する可能性がある。首脳同士の会談が相次ぐことは、両国間の緊張緩和を示す動きと受け止められており、実現すれば世界経済にとって追い風となる見通しだ。両国と深い経済関係を持つ日本にとっても、輸出環境の改善につながる可能性がある。
ただ、両国関係が本質的に緊張をはらんだ状態にあるとの見方は根強い。緊張緩和の流れが示されたものの、依然として未解決の課題は多い。スコット・ベサント米財務長官は、11月末の感謝祭までにレアアースを巡る米中貿易協定を締結できるとの見通しを示していたが、この問題を巡っては、双方ともまだ進展した結果を示せていない。中国が主要産業に対する統制権を容易に手放さないとの見方が支配的だ。
さらに、中国IT大手バイトダンス傘下の動画投稿アプリ「TikTok」を米国側投資家に売却する問題を巡っても、「ほぼ完了した」との報道が1年以上続いている。一部の関税調整や協力分野の拡大が実現する可能性はあるものの、核心技術や戦略資源を巡る規制と競争は、今後も続くとみられる。
安全保障分野では、米中間の対立構図がより鮮明となる。米国は12月初めに公表した国家安全保障戦略で、中国を「敵国」とは位置づけず、異例ともいえる慎重な表現を採用した。一方で、台湾防衛への関与については明確な意思を示し、航行の自由が保障されるべきだとの経済的理由を根拠に挙げた。
中国が12月末、台湾を包囲する形で大規模な軍事演習を実施したことに対し、トランプ大統領は「20年来続いていることだ」と述べ、事態の意味合いを抑える姿勢を示した。ただ、米国防総省は昨年末に公表した報告書で、「中国は2027年までに台湾との戦争を遂行し、勝利する能力を備えることを目標としている」と分析しており、警戒感は根強い。













コメント0