議会が反対し、トランプ大統領が提出した新たな国防予算法案からも削除
米議会予算局は、改称コストを約190億円以上と推計

米国防総省を「戦争省」に改称する構想をめぐり、米議会が承認した場合の費用は改称関連だけで最大1億2,500万ドル(約198億円)に上る可能性があると、米議会予算局(CBO)が試算した。改称の是非を含め、現時点では実現が難しいとの見方が強まっている。
米紙ニューヨーク・タイムズは14日(現地時間)、CBOが国防総省に対し、改称に伴う費用の算定に必要な資料の提出を求めたものの、国防総省側が回答を拒んだと報じた。
「戦争省」への改称は、ピート・ヘグセス国防長官が主導してきた案件で、2024年に出版した著書で提案した内容だという。昨年9月にはドナルド・トランプ大統領が大統領令で改称を承認した。トランプ大統領は当時、改称理由について、よりそれらしく聞こえるからだと説明し、「国防」という語が政治的に正しい表現を含むとも述べた。
一方、米議会は改称問題を本格的に扱うことを避けてきた。議会が法案を可決しなければ正式な名称変更とはならず、法的拘束力も伴わない。さらに、トランプ大統領が先月署名した国防関連法案にも改称項目は盛り込まれなかった。
CBOの報告書によれば、改称を「小規模」に進める場合でも少なくとも1,000万ドル(約15億8,520万円)の公費が必要になり得る。国防総省の名称が記された物品を一斉に廃棄して新名称へ置き換えるなど、より広範な対応を行うと、費用は1億2,500万ドル(約198億円)以上へ膨らむ可能性があるとしている。
改称に伴うコストの膨張を警戒する声は、過去の事例でも示されている。バイデン前大統領政権下では、奴隷制や白人至上主義の維持を掲げて米国と戦った南部連合に由来する名称を、国防総省資産から改めるための法案が採択された。軍艦や道路、建物などの新名称を検討した委員会は当初、改称費用を2,100万ドル(約33億円)と見積もり、1年後には3,900万ドル(約62億円)へ上方修正した。最終的な費用は当初想定をさらに上回り、約6,250万ドル(約99億円)に達したという。
ヘグセス長官は、南部連合の将校名を外した陸軍基地について、名称を復元する動きも主導してきた。昨年6月の上院公聴会では、南部連合の名称を削除したことは「歴史を消す行為だ」との立場を示している。
国防総省の改称案は、ヘグセス長官が2024年の著書で提案するまで公の場でほとんど論じられておらず、その後も同氏の就任前までは極右系のオンラインメディアを中心に扱われる程度にとどまっていた。
国防総省は1789年、ジョージ・ワシントン初代大統領の政権下で「戦争省」として設立され、第一次、第二次世界大戦期も同名称で運営されていた。その後、米国が紛争より平和を志向する姿勢を示す狙いから、「国防総省」へ名称が改められた経緯がある。
ヘグセス長官は昨年9月の大統領令を受け、改称の目的について、政治的に正しい言葉ではなく実効性を重視する趣旨だと説明した。昨年11月13日には、国防総省が出入口の一つに「戦争省」と記した青銅の銘板を固定する場面の写真を公開し、ヘグセス長官は、ここを通る全員が改称を極めて重く受け止めていることを理解してほしいと語ったという。
















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