ドナルド・トランプ米大統領は米金融大手JPモルガン・チェースと同社のジェイミー・ダイモンCEOを相手に50億ドル(約7,926億7,373万1,867円)の損害賠償を求める訴訟を起こした。2021年の米連邦議会議事堂襲撃事件後、政治的理由で自身や家族の口座が一方的に閉鎖されたと主張している。

トランプ大統領は22日(現地時間)、フロリダ州マイアミ・デイド郡の裁判所に訴状を提出した。訴状ではJPモルガンが事前の警告や十分な説明を行わないまま金融取引を停止したと指摘した。特にダイモンCEOの指示により、自身および関連事業体が不正行為者を識別する内部のブラックリストに登録されたと主張している。
原告側は当時の金融業界に広がっていた「政治的リスク回避」の風潮に迎合した判断だったと批判した。銀行が政治的な空気に沿って特定の顧客を排除し、評判や規制上のリスクを低減しようとしたと訴えている。
ブルームバーグによると、訴訟では名誉毀損、信義誠実義務違反、契約関係における差別などが争点に含まれているという。トランプ大統領側の代理人であるアレハンドロ・ブリト弁護士は「政治的立場を理由に金融サービスを制限する行為はフロリダ州の消費者保護法に反する」と述べた。
トランプ大統領側はJPモルガンに限らず、バンク・オブ・アメリカでも10億ドル(約1,585億4,845万401円)超の預金取引が拒否されたと主張し、保守系の人物が金融業界全体で事実上排除される「デバンキング(de-banking)」が起きていると訴えている。この問題は米保守層で近年指摘されてきた「政治的デバンキング」論争の象徴的事例と位置づけられている。

これに対し、JPモルガンは直ちに反論した。声明で「口座閉鎖は政治的配慮とは無関係で、法令・規制上のリスクに基づく通常の内部判断」だと説明した。ニューヨーク・タイムズ(NYT)によれば、JPモルガンは「資金洗浄対策、制裁違反の可能性、評判リスクがある場合、口座凍結は一般的な銀行実務」としている。JPモルガン広報担当のトリシー・ウェクスラー氏は「法廷で正当性を立証する」と述べた。
今回の訴訟は、トランプ政権が掲げてきた金融システムの「非政治化」の方針とも重なる。トランプ大統領は昨年8月、政治的理由による金融サービス排除を制限する大統領令に署名した。続く9月には通貨監督庁(OCC)が金融機関による不当な取引拒否を防ぐための規制見直しの検討に着手した。ロイター通信は「政権が金融業界に対し、政治的中立性の強化を幅広く求めている」と分析している。
法曹界や金融業界では、この訴訟が個別の紛争にとどまらず、銀行の顧客選択の自由と金融サービスの公共性の境界を改めて問い直す可能性があるとの見方が出ている。特にダイモンCEO個人が被告に名を連ねた点は異例とされる。NBCニュースは「保守陣営でデバンキング批判が強まる中、今回の訴訟が今後の金融規制の議論に影響を与える可能性がある」と伝えた。
















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