
ドナルド・トランプ米大統領はグリーンランド取得構想に反対する欧州8か国に課すとしていた関税措置を、発表から4日で撤回した。欧州側の反発が想定以上に強く、米国の金融市場にも動揺が広がったことを受け、一歩引いたとの見方が出ている。国際社会が懸念していた関税カードを撤回する一方、グリーンランドでは米軍基地の拡充や権益の扱いを巡る協議が進んでいる可能性があるとされる。トランプ大統領は武力は用いないとも明らかにした。
トランプ大統領は21日(現地時間)、自身のSNSでマルク・ルッテ北大西洋条約機構(NATO)事務総長との生産的な会談を踏まえ「グリーンランドと事実上北極地域全体に関する将来の合意の枠組みを整えた」と投稿した。併せて「これが完成すれば米国とNATOにとって大きな解決策になる」とし「2月1日に発動予定だった欧州8か国向けの関税は課さない」と付け加えた。
これにより、デンマークや英国、フランスなどを対象に予告していた10%の追加関税は撤回されることとなった。市場関係者の間では、いわゆる「TACO(トランプはいつも尻込みして退く)」との批判が再び出ている。
合意の具体像についてトランプ大統領は詳細を示していないが、ニューヨーク・タイムズはキプロスにある英軍基地の運用形態がモデルとして言及されたと伝えた。
英国は旧植民地のキプロスで軍事基地を運用しており、同基地は英国領として扱われている。これを踏まえ、グリーンランドに所在する米軍基地についても米国の権益を認める案が協議対象になった可能性があるとみられている。
CNNもNATO会議でグリーンランド内の米軍基地を増設する案が話し合われ、設置地は米国領として扱われるとの見通しが示されたと報じた。あわせて、NATOは次世代ミサイル防衛システム「ゴールデン・ドーム」の配備、ロシアや中国の影響力拡大への対応強化、鉱物資源を巡る折衝案などを提示したとも伝えられている。ただし、NATO報道官は「ルッテ事務総長はトランプ大統領との会談で、グリーンランドの主権に関するいかなる妥協案も示していない」と説明した。
トランプ大統領は同日、スイス・ダボスで開かれた世界経済フォーラム(WEF)での演説でも、米国がグリーンランドを保有すべきだとの立場を維持しつつ「そのために軍事力は使わない」と述べた。
関税と軍事的圧力の双方を一旦停止した背景については、欧州側が報復関税に言及する中、グリーンランド問題が貿易摩擦に発展することへの懸念があったとの見方がある。フィナンシャル・タイムズは「トランプ大統領の姿勢転換は20日に米株式市場が急落した後に示された」と指摘した。中国やロシアへの対応には欧州との安全保障協力が不可欠であり、全面対立は避けたい思惑もあったと分析されている。
もっとも、トランプ大統領のグリーンランド取得構想が今後も続く可能性や「大西洋同盟」の結束が従来水準に戻るかは不透明との見方が多い。NYTは「一部の欧州首脳は関税撤回に安堵を示したものの、米国を同盟国として信頼できるかという不安は解消されていない」と報じた。
















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