
ドナルド・トランプ大統領の下で、米国は「略奪的覇権主義国家(Predatory Hegemon)」へ変質しつつあり、短期的に効果が出る可能性はあっても、長期的には競争相手の中国を利する結果となり、米国の安全保障と繁栄を損ねかねない。こうした警告が米学界から示された。
ハーバード大学ケネディ行政大学院の国際関係学者、スティーブン・M・ウォルト教授は3日(現地時間)の寄稿で、トランプ政権下の米国は略奪的覇権主義国家に変貌したと論じた。米国は依然として強大な資産と地政学的優位性を持つため、この路線は一時的には奏功し得るものの、長期的には失敗が避けられないとの見方を示している。
ウォルト教授は、こうした戦略が「多極化の回帰」への一貫した慎重な対応として設計されたものではないと分析した。むしろ、複数の大国が共存する国際環境では誤った方向性であり、米国が世界のほぼ全ての国に対して強大で持続的な影響力を行使できるという、トランプ大統領の信念を直接反映していると指摘した。
また、略奪的覇権主義国家とは、同盟国と敵対国の双方から譲歩や貢納、服従の意思表示を引き出すため、米国の特権的地位を利用することを中心目標に据えるものだと定義した。世界を純粋なゼロサムとして捉え、短期の利益を優先する点が特徴だという。
さらに、トランプ外交の「略奪的」性格は、貿易赤字への強い執着や、関税を通じて米国に有利となる形で経済的利益の再配分を狙う試みに最も表れていると述べた。加えて、他国の領土への露骨な関心や、国際法に反して他国の内政へ介入しようとする意思に触れずして、米国の略奪的覇権主義は論じられないとも指摘した。
そのうえでウォルト教授は、この外交戦略が長期的には失敗せざるを得ないと位置付けた。複数の大国が競争する世界、とりわけ中国が経済・軍事の両面で対抗し得る地位を占める多極化の環境では不向きだという。多極化が進めば、各国は米国への依存度を下げる選択肢を持ちやすくなるためだと説明した。
そして、略奪的覇権主義が今後数年間も米国の基本戦略であり続けるなら、米国と同盟国の双方を弱体化させ、世界的な反感を増幅させると論じた。その結果、米国の主要な競争国にとって魅力的な機会を生み出し、米国の安全保障・繁栄・影響力をかえって掘り崩すことになるとも警告した。
米国は過去75年間、力の行使を抑制しつつ影響力を確保してきたが、略奪的覇権主義は短期の利得を追うあまり、そうした蓄積された優位を浪費し、長期的な負の帰結を軽視していると強調した。これは「敗北の戦略」であり、政権として早期に放棄するほど望ましいという認識を示している。
















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