
米国とロシアの軍縮枠組みである新戦略兵器削減条約(新START)が5日に失効した。こうした中、ロシアは米国の出方次第で、核兵器の上限制限を当面維持し得るとの立場を示した。
AP通信は、セルゲイ・ラブロフ外相が11日(現地時間)、ロシア国家院(下院)で、米国が条約上の上限を超えない限り、ブラジーミル・プーチン大統領が宣言したモラトリアム(凍結措置)は維持されると述べた、と伝えた。米露の核管理体制が空白期に入ることで軍拡競争が加速しかねないとの懸念が出る中、ひとまず沈静化を図る狙いがあるとみられる。
ラブロフ外相は「米国の軍事政策を分析した結果に基づき、責任ある均衡した形で行動する」と述べ、「米国が直ちに上限を撤廃するとは考えにくい根拠がある。今後の推移を注意深く見守る」と付け加えた。
また、米国側に協力の意思が確認できれば、過去の戦略的安定性に関する協定では扱われなかった新たな議題も含め、次の協定の締結を積極的に進める用意があるとも強調した。
今回の発言は、米露の交渉団がアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで会談し、少なくとも6か月間は条約上の上限を非公式に順守する案を協議したとの報道が出た後に伝えられた。
これに関連し、クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は「この分野で非公式な延長を想定するのは難しい」と述べ、いかなる合意も公式な形式を伴わなければ成立しないとの見方を示した。一方で、アブダビの会談で核軍縮問題を議論したこと自体は認めたという。
新STARTは2010年に締結され、実戦配備の核弾頭を1,550発以下、運用するミサイルや爆撃機を700基以下に制限することを柱としてきた。2021年に一度、5年間延長されたが、検証のための現地査察は新型コロナの影響で中断して以降、再開に至っていない。
プーチン大統領は昨年、条約参加の「中断」を表明しつつも、完全な脱退には踏み込まない姿勢を続けてきた。
一方、ラブロフ外相はプーチン大統領とドナルド・トランプ大統領の個人的な信頼関係にも言及し、外交的解決の余地を残した。両首脳の相互の好意が、昨年のアラスカ州アンカレッジでの首脳会談で前向きな雰囲気をつくったとの認識も示した。
ただ、米国がグリーンランドの管理を強めようとしている動きについては「ロシアに直接の利害関係がある問題ではない」と一線を画した。その上で、グリーンランドの軍事化が進み、ロシアを標的とする軍事能力が整備されるなら、軍事・技術面の対応を含む適切な措置を取ると警告した。
さらに、米国がロシア、中国、イランを念頭にベネズエラ産原油の取引を禁じた措置を巡っては「明白に差別的だ」と批判した。米露関係の正常化には、一方的な制裁ではなく「相互尊重」が基盤になるべきだとも訴えた。
















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