
欧州では、ロシアがいつ侵攻に踏み切るか分からないという不安が広がっている。さらに、グリーンランドの譲渡を迫るなど同盟国に圧力をかける米国の姿勢を目の当たりにし、「欧州は自らを自らで守るべきだ」との声も強まっている。
そうした中、第二次世界大戦の戦犯国であるドイツが“禁忌”を破り、再武装へと大きく舵を切っている。自動車部品工場を弾薬工場へ転換する動きがその象徴だ。
ベルリンの住宅街の一角に位置するある工場。看板も掲げられていない建物には、大型トラックが絶え間なく出入りしている。関係者は取材に対し「確認できない」と口を閉ざした。
厳重な警備が敷かれたこの施設は、欧州最大級の防衛企業ラインメタルの軍需工場である。ここはもともと40年以上にわたり自動車部品を生産してきたが、昨年夏以降、従業員の再教育を経て弾薬生産へと転換された。収益性が急速に悪化した自動車産業に代わり、防衛産業へ軸足を移した形だ。
また、森の中に新設された別の工場では、155ミリ砲弾などを生産している。ウクライナ戦争の勃発以降、受注が急増し、既存の生産体制では対応しきれなくなったためだ。ラインメタル側はこの状況を「砲兵のルネサンス」と表現している。
ウクライナ戦争は、もはや欧州にとって対岸の火事ではない。工場の竣工式にはドイツ政府関係者に加え、NATOのルッテ事務総長も出席した。ルッテ氏は昨年8月、「ロシアと中国による軍備拡張は明確な方向性を示している。彼らは我々との長期的な対立と競争に備えている」と警鐘を鳴らした。
さらに、トランプ政権の再登場により、「欧州の安全保障は欧州自身が担うべきだ」とする米国の姿勢が鮮明になり、欧州各国の危機感は一段と高まっている。
昨年上半期だけでも、ベルリンでは100社以上の民間企業が軍需産業への転換を申請した。農業用ドローンを製造していた企業が、戦場監視用の軍事偵察ドローン開発に乗り出すなど、産業構造の変化は急速に進んでいる。
先週末のミュンヘン安全保障会議では、ドイツとフランスが欧州独自の「核の傘」構想について協議を進めていることも明らかになった。
トランプ氏とプーチン大統領の不安定な動きが、欧州の再武装をさらに加速させている。
















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