米国と欧州の亀裂が、いっそう鮮明になっている。米国の外交・国防の中枢は、米欧が同じ価値観を共有しているわけではないとの認識を明確にし、欧州は自ら通常戦力による防衛を担うべきだと強調した。
欧州は同盟関係の変化に危機感を募らせ、北大西洋条約機構(NATO)の強化へと舵を切った。英国とドイツは国防力強化の必要性について国民への説明を本格化させ、フランスは欧州内での核抑止(核の傘)共有を提起した。ポーランドでは核保有の検討に言及する動きも出ている。

14日(現地時間)、マルコ・ルビオ米国務長官はミュンヘン安全保障会議で、欧州と米国の同質性を強調する演説を行い、欧州首脳から拍手を受けた。
一方で、演説の含意はドナルド・トランプ米大統領の強い言い回しを「整えた」に過ぎないとの受け止めも広がっている。
ルビオ長官は「昨日は終わった」と述べ、欧州に対して移民抑制によって「文明的消滅」を回避するよう促した。さらに、自由貿易や気候政策を「崇拝」しているかのような環境政策、肥大化した福祉国家、国際機関に主権を委ねる姿勢なども批判の対象に挙げた。
英週刊誌エコノミストは、この演説が実質的にMAGA(米国を再び偉大に)を掲げる勢力の世界観を言語化したものだと報じている。
独週刊誌シュピーゲルは、演説後にルビオ長官がウラジーミル・プーチン露大統領に友好的とされるスロバキアのロベルト・フィツォ首相、ハンガリーのビクトル・オルバン首相らと会談した点を取り上げた。欧州の自由主義や法の支配を重視する国々より、権威主義的と見なされる指導者に親近感を示しているように映る、という指摘である。
こうした流れを受け、欧州メディアの間では「ルビオ演説以降、米欧の溝だけが際立った」との見方が出ている。米国によるグリーンランドの領有を示唆する動きや、ロシア・ウクライナ戦争の交渉でロシアに融和的と受け取られかねない姿勢が強調されていることも、背景として挙げられた。
NATOを訪問したエルブリッジ・コルビー米国防総省の政策担当次官は、現在を「NATO3.0の時代」だと位置付け、欧州に対して軍備増強と通常戦力による防衛の主導を求めた。
欧州首脳は、ロシアの脅威が一段と露骨になるなか、従来のように米国へ軍事的に依存し続けない意向を相次いで示している。キア・スターマー英首相は「ブレグジットの時代は終わった」と述べ、NATOとの協力を前面に押し出した。フリードリヒ・メルツ独首相も、米国の覇権の時代が想定より早く終わりつつあるとの認識を示している。
各国では軍備増強にとどまらず、独自の核抑止の確保にまで議論が広がってきた。カロル・ナブロツキ・ポーランド大統領は自国メディアのインタビューで、ロシアの脅威に対し国際規範を尊重しつつも、核の能力を備える道を進む必要があると述べた。

エマニュエル・マクロン仏大統領はミュンヘン安全保障会議で、フランスと英国が保有する核抑止力を欧州全体の枠組みで活用する案について、ドイツと協議していると明かしている。 相互防衛協力を強める英国とドイツでは、冷戦終結後で最大規模となる国防費の増額をめぐり、国民の理解を得る動きが加速している。16日には、リチャード・ナイトン英国防参謀総長とカーステン・ブロイアー独連邦軍総監が、英ガーディアンと独ビルトに共同寄稿を掲載した。 寄稿では、ロシアの軍事力が西側へ重心を移しつつあるとして、欧州の防衛・安全保障政策には質的な飛躍が不可欠だと訴えた。その上で、再軍備は国民を守り平和を維持するための責任ある行動だと主張している。
















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