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「今こそ米国の黄金期?」──トランプの強硬演説、108分で露わになったのは”議会の分断”だった

竹内智子 アクセス  

引用:depositphotos
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ドナルド・トランプ米大統領は24日、ワシントンD.C.の連邦議会で、2期目就任後初の国政演説(一般教書演説)を行った。米国とイランの緊張、ロシアによるウクライナ侵攻から4年、連邦最高裁判所による相互関税違法判決の余波などの課題を背景に、世界の注目を集めた。

「今こそ米国の黄金期だ」という言葉で始まった演説は、歴代最長となる108分間に及んだ。トランプ大統領は、対外的に力を前面に押し出した軍事・安全保障政策で米国中心の国際秩序を築くとともに、最高裁判決にもかかわらず関税を軸とした通商政策を維持する考えを明言した。また、退役軍人やオリンピック金メダリストを招いたサプライズ授賞式を行い、厳格な移民政策の正当性を強調することで支持層の結束にも力を入れた。

「連邦最高裁の判決でも関税は維持」

今回の国政演説は、連邦最高裁判所が国際緊急経済権限法に基づく相互関税の課税を違憲と判断したわずか4日後に行われた。トランプ大統領は、最高裁判事らが同席する会場で「私は関税を国家安全保障の観点から有利な合意を引き出す手段として活用したが、連邦最高裁は残念な判決を下した」と述べた。それでも「ほとんどすべての国と企業は、すでに締結した協定の維持を望んでいる」と付け加え、通商交渉で関税を武器として使う方針を貫く姿勢を示した。

さらに「従来よりも強力な代替手段を準備している」「新たな措置はこれまでよりやや複雑になるかもしれないが、むしろより強力な解決策となるだろう」と述べ、最高裁判決直後に発表された15%のグローバル関税に加え、さらに多様な「関税の武器」を使用する可能性を強く示唆した。

「イラン、米本土を狙うミサイル開発…核保有は絶対に許さない」

トランプ大統領はイラン問題でも強硬姿勢を示した。「我々はイランと交渉をしているが、まだ『核兵器は絶対に保有しない』という明確な言葉を聞いていない」と述べ、「イランに核兵器を持たせるわけにはいかない」と強調した。さらに「イランはすでにヨーロッパや海外の米軍基地を脅かすミサイルを開発しており、近く米本土に届く可能性のあるミサイルの開発も進めている」と警告した。トランプ大統領は、イランの反政府デモによる犠牲者が3万2,000人に上ると指摘し、「外交的解決を望むが、世界最大のテロ支援国家が核を持つことは絶対に許さない」と語り、軍事力の行使も辞さない姿勢を示した。

この国政演説は、ロシアによるウクライナ侵攻から4年目の日に行われた。トランプ大統領は、第2期任期開始後に関与した8件の国際紛争を一つひとつ挙げた上で、ロシア・ウクライナ戦争を自身が和平に尽力する9番目の戦争だと位置付けた。また、米欧間の大西洋同盟を揺るがしているデンマーク自治領グリーンランドについては、「国際安全保障のためにグリーンランドは必要だ。住民の皆さんを豊かで安全にする」と述べ、米国領にする意向を改めて強調した。なお、昨年3月の上下院合同演説に続き、今回の国政演説でも北朝鮮の核問題や中国の安全保障上の脅威には触れられなかった。

犯罪被害者の家族を招き、移民政策の正当性を強調

トランプ大統領は、支持層と反対層の間で激しい分断を生んでいる自身の国内政策の正当性を示すことにも力を入れた。特に、民主党や進歩派が反発する、逮捕・摘発を重視した移民取り締まり政策への支持を引き出すため、不法移民による犯罪の被害者家族を多数議会に招いた。

2年前、不法移民が運転するトラックにはねられ、一命を取り留めた7歳の少女デライラ・コールマンさんとその家族を呼び、「すべての州で不法移民への商用トラック免許発給を禁止する『ディライラ法』を提案する」と述べた。さらに、16歳のとき不法移民に殺害された少女リズベス・メディナさん、ウクライナ難民として米国に定住後、ホームレスに殺害されたイリーナ・ザルツカさん、アフガニスタン出身の移民に殺害されたウェストバージニア州の女性州兵サラ・ベクストロムさんの遺族も紹介した。そして、これらの事件はジョー・バイデン民主党政権下の緩い移民・治安政策が招いたと主張した。

さらに、ソマリア系移民が多く定住するミネソタ州で福祉不正疑惑が浮上したことに触れ、彼らを「ソマリア海賊の群れ」と呼び、J.D.ヴァンス副大統領が「詐欺との戦い」を指導すると述べた。

オリンピック金メダリストや退役軍人にサプライズ表彰

引用:SNS
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演説の冒頭と結びには、米国民の団結と愛国心を呼び起こす場面が配置された。トランプ大統領は演説の冒頭で、ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックでカナダを破り、46年ぶりに金メダルを獲得した男子アイスホッケー代表チームの選手たちを立たせた。選手たちが立ち上がると、共和党議員のみならず民主党議員も起立して拍手を送った。トランプ大統領は殊勲のゴールキーパー、コナー・ヘレバイク選手に、大統領が民間人に授与する最高位の勲章である大統領自由勲章を授与すると発表した。

演説の締めは、2人のパイロットに最高位の軍功勲章である名誉勲章を授与する場面で飾られた。トランプ大統領はまず、1月3日にベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の捕縛・移送作戦でCH-47チヌークを操縦した陸軍パイロット、エリック・スローバー准尉に勲章を授与した。スローバー准尉は当時、銃弾4発を受け重傷を負いながらも無事にヘリを着陸させ、功績を挙げたとトランプ大統領は伝えた。死後受賞者が多い名誉勲章を、現役軍人が戦功を挙げてからわずか50日余りで授与されるのは極めて例が少ないという。さらに、トランプ大統領は朝鮮戦争の英雄、ロイス・ウィリアムズ(101歳)予備役海軍大佐にも名誉勲章を授与した。ウィリアムズ氏はソ連のミグ機4機を単独で撃墜する活躍を見せたが、長年その功績を秘密にしておく必要があった事情もトランプ大統領自ら説明した。勲章は配偶者のメラニア・トランプ夫人が授与した。

この日、トランプ大統領所属の共和党議員たちは演説中に何度も起立して拍手を送ったのに対し、民主党議員たちは席に座ったまま沈黙を守るか、そもそも演説会場に姿を見せなかった。民主党の女性議員たちは、トランプ大統領が投票者登録手続きを大幅に強化する「米国救済法(Save America Act)」の推進に反対する意志を示すため、白い服を着用していた。

竹内智子
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