生活の質を求めてヨーロッパへ向かう米中産階級
世界恐慌以降、初の純移民減少
移民の国と呼ばれてきた米国で、自国民が大挙して海外へ移住する「脱米国」の動きが史上最大規模で起きている。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は「米国人が記録的な数で海外に定住している」とし、「新たなアメリカン・ドリームは今や海外にある」と報じた。

米国のシンクタンク、ブルッキングス研究所によると、昨年米国は約15万人の純移民減少を記録し、2026年には流出がさらに増加する見込みだ。米国への流入よりも流出が多かったという意味で、この現象は1930年代の世界恐慌以降、事実上初めてだ。ドナルド・トランプ政権は、これを不法滞在者の追放とビザ規制強化の成果として宣伝しているが、実態は異なるとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は指摘した。
ヨーロッパへ向かうアメリカの中産階級
かつて一部の富裕層や冒険家の特権だった海外移住は、今や普通の中産階級家庭の選択肢となった。ダラスの不動産投資会社で働いていたクリス・フォードさん(41)は、WSJに「アメリカでは5歳の子供が幼稚園で銃乱射事件の避難訓練を受けなければならなかったが、ベルリンではその心配がない」とし、「給料は米国の方が高いかもしれないが、生活の質は欧州の方が圧倒的に上だ」と語った。
WSJによると、彼らが主に向かうのは生活費が安く治安の良いヨーロッパだ。ポルトガルのリスボンの米国人居住者は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック以降500%以上急増した。アイルランドには昨年アメリカに渡ったアイルランド人の2倍にあたる1万人のアメリカ人が移住した。アイルランドのダブリンの新興住宅地グランド・カナル・ドックでは住民15人に1人がアメリカ生まれという不動産業界の推計もある。ドイツも昨年アメリカ人の流入がドイツ人のアメリカ移住より多かった。
揺らぐアメリカ例外主義
この流れの背景には銃犯罪と高騰する住宅費がある。ギャラップの調査によると、2008年の金融危機の際に10%だった移住希望者は昨年には20%に倍増した。特に15~44歳の女性の40%が移住を希望していることが分かった。テンプル大学のケイトリン・ジョイス研究員は「アメリカ人が海外で社会民主主義的政策を経験し、『アメリカが最高』というアメリカ例外主義に疑問を持ち始めた」と述べた。
脱米国の動きは、アメリカ政府にとっても悩みの種となっている。税金問題で市民権を放棄しようとする申請者が殺到し、業務処理が数ヶ月遅れている。一方、ヨーロッパ現地ではアメリカ人が不動産価格を押し上げているという不満の声も上がっている。一部では今回の現象が単なる流行を超えてアメリカ社会の構造的変化を示しているとの分析も出ている。アメリカがもはや自国民に安全と幸福を保障できていないというサインだという解釈だ。
















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