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「米国が攻撃しない人物」米研究所が分析、イラン大統領生存が示す“戦後戦略”とは?

望月博樹 アクセス  

米シンクタンク・ハドソン研究所分析 「イラン大統領を生かしたままにしたのは収拾に向けたシグナル」

出典:EPA
出典:EPA

米国とイスラエルによるイランへの空爆後、中東情勢が急速に揺れ動くなか、今後72時間がこの戦争の行方を左右する重大な分岐点になるとの見方が浮上している。イランの反撃能力がどの程度維持されるか、また米国がイラン指導部の主要人物のうち誰を攻撃対象から外すかが、戦後秩序を占う核心的な指標になるとの分析だ。

米国の保守系シンクタンク、ハドソン研究所の軍事アナリスト、カン・カサポグル氏は2日(現地時間)に発表した報告書で、今後72時間がこの戦争の軍事的・政治的方向を決定づける重要な時間になると予測した。同氏は特に、イランのミサイル・ドローン攻撃のペースがどの程度維持されるかが最大の注目点だと指摘した。

報告書は、イランの最高指導者アリー・ハメネイ師の死は象徴的には大きな出来事であるものの、イランの軍指揮系統にはほとんど影響を与えないとの見方を示した。87歳という高齢だったハメネイ師は、死亡以前から戦時指揮に実質的に関与できない状態にあったとされる。昨年6月に勃発したイスラエルとの「12日間戦争」の際にも、地下バンカーに身を潜め、指揮の最前線から事実上外れていたという。

代わりに権力の中心はイスラム革命防衛隊(IRGC)へと移行した。報告書は、ハメネイ師排除後もその空白が軍事的麻痺につながらなかった点に注目し、IRGCが単なる神権体制の守護組織を超え、国家全体を支える中枢へと進化したと説明した。

現在イランは数百発の弾道ミサイルと大規模なドローンを動員し、イスラエルや中東域内の米軍施設、湾岸諸国を同時多発的に攻撃している。反撃のペースと地理的な拡散状況から見て、イランのミサイル運用能力と軍事指揮系統は依然として大きな損傷なく機能しているとの判断だ。報告書によれば、開戦からわずか2日でアラブ首長国連邦(UAE)の防空網は152発の弾道ミサイルを迎撃しており、空爆が始まった28日の1日だけで約170発のミサイルがイスラエルに向けて発射された。

ハメネイ師の次男モジュタバ氏が次期最高指導者の有力候補として取り沙汰されるなか、もう一つの重要なシグナルは、米国が攻撃しないイランの権力上層部の存在だ。報告書は、攻撃目標の選定そのものが、米国のイラン戦後構想を示す戦略的メッセージになり得ると分析した。

その観点から、マスード・ペゼシュキアン大統領の生存いかんは重要なシグナルだと強調した。アゼルバイジャン系トルコ出身の同氏が、戦後の収拾過程において交渉チャンネルになり得るというのだ。強硬保守派の人物であり、IRGCの軍事・安全保障の統括権を握るアリー・ラーリージャーニー氏もまた、戦後におけるIRGCの国際ネットワーク管理に中心的な役割を担い得るとした。報告書は、米国がこれらの人物を攻撃しないのは、イランの完全崩壊よりも制御可能な安定維持を優先しているためだと評価した。

報告書はこのほか、今後注視すべき指標として、イラン正規軍「アルテシュ」の離脱の兆候、ホルムズ海峡のタンカー通行の動向および保険料・運賃の上昇、レバノンのヒズボラによる大規模動員の有無などを挙げた。

望月博樹
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