
米国のドナルド・トランプ米大統領がホルムズ海峡を通過するタンカーの護衛に言及したことを受け、日本政府は自衛隊派遣の法的根拠について検討を進めている。
朝日新聞は「イランへの軍事攻撃を巡りトランプ大統領が米海軍によるタンカー護衛方針を示す中、日本政府は米国から支援要請があった場合に備え、自衛隊派遣の法的根拠を慎重に検討している」と報じた。
背景には、イラン革命防衛隊(IRGC)がホルムズ海峡の封鎖を宣言したことを受けた米国の対応がある。エネルギー輸入の生命線であるホルムズ海峡の安全確保に向け、日本政府は米国との負担分担を模索している。
米中央軍はイラン海軍と空軍の主要施設を破壊したと発表しているが、IRGCのミサイルやドローン、高速艇、機雷などの非対称戦力は依然として脅威とみられている。トランプ政権はホルムズ海峡を通過する船舶の「包括的護衛」を推進し、同盟国の協力を促す見込みだ。
佐藤啓官房副長官は5日、「関係省庁と連携して具体的な動向について情報収集に努めている」と述べた。毎日新聞は、米国から自衛隊による後方支援を求められる可能性があると指摘し、日本政府内の緊張感を伝えている。
日本政府内では、米国から要請があった場合、海上自衛隊の哨戒機や空中給油機の派遣を優先的に検討する案が浮上している。外務省幹部は「日本が米国にただ乗りするわけにはいかない」として積極的な関与を主張する一方、法的根拠の確保が最大の課題となっている。自衛隊の艦艇や航空機が米軍支援としてどこまで活動できるかを巡り、政府内で議論が続いているという。
また、高市早苗首相が3月に予定されているトランプ大統領との首脳会談で、直接協力を求められる可能性も指摘されている。

自衛隊海外派遣の法的根拠が焦点
自衛隊の海外派遣を巡る法的根拠としては、自衛隊法に基づく「海上警備行動」、防衛省設置法に基づく「調査・研究」、さらに安全保障関連法による集団的自衛権の行使などが議論されている。
2019年のホルムズ海峡事態の際、日本政府は「調査・研究」と海上警備行動を組み合わせて自衛隊を派遣したが、法曹界からは「実質的な軍事関与を形式的に装飾した」との批判も出た。
毎日新聞は、現在の状況は「存立危機事態」や「重要影響事態」には該当しない可能性が高いとしつつ、日本船舶が攻撃された場合には海上警備行動が発動される可能性があると分析している。
集団的自衛権については、海峡封鎖が日本のエネルギー輸入を脅かす場合に適用される余地があるが、米国の先制作戦を支援するかどうかは憲法上の議論を招く恐れがある。
2019年から2020年の中東派遣では、自衛隊は主に情報収集や監視活動を行ったが、ホルムズ海峡への直接派遣は見送られた。安倍晋三元首相の政権下では、ホルムズ海峡が集団的自衛権の代表的な例として議論されたものの、政治的反発を考慮し、活動海域はオマーン湾周辺などに限定された。
TBSなどのメディアは、今回の情勢ではトランプ大統領が「直接護衛」を同盟国に求める可能性があり、過去より要求が強まるとの見方を示している。
日本の法曹界では「ホルムズ海峡のような遠方海域での活動は専守防衛の原則に反する」として反対声明を準備する動きもある。野党や市民団体は政府の「解釈改憲」を批判し、国会承認を求める構えだ。
高市首相はトランプ大統領との関係強化(昨年の米空母乗艦など)も踏まえ、準備態勢の強化を進める可能性がある。ただ、自衛隊員の安全確保やイランによる報復、国内世論の反発などが大きなリスクとして指摘されている。
















コメント0