
日本政府はG7のホルムズ海峡船舶護衛活動への自衛隊派遣について、法的・実務的障害を前に慎重な検討を続けている。米国とイスラエルによるイラン攻撃の影響で中東情勢が緊迫する中、集団的自衛権の発動要件や日本周辺の防衛体制に生じる空白が主要な障害として浮上していると産経新聞が12日に報じた。
G7首脳は11日にオンライン会議を開き、ホルムズ海峡の航行の自由を確保するため、船舶護衛の可能性を検討することで一致した。議長国のフランスが発表した声明では「ホルムズ海峡を含む海上輸送路の安全確保」について協議したと明らかにされた。これは、イランが封鎖したホルムズ海峡や紅海周辺で相次ぐ船舶攻撃への対応とみられる。
日本が他国軍と共同でタンカーなどを護衛するには、「存立危機事態」の認定が必要となる。これは自衛隊法に基づく集団的自衛権発動の要件で、エネルギー供給の途絶など国民生活に深刻な危険が生じた場合に限られる。また、米国とイスラエルによるイラン攻撃が国際法に違反していないという前提も求められる。
海上警備行動を発令すれば、日本関係船舶を保護する目的で護衛艦を派遣することは可能だ。ただし、治安維持を目的とする海上警備行動は紛争海域での適用を巡り法解釈の議論が生じる可能性がある。政府は自衛隊派遣の可否について明確な立場を示していない。木原稔官房長官は12日の記者会見で「G7首脳会議ではホルムズ海峡を含む海上輸送路の安全確保について議論があった」とし「詳細な説明は控えたい」と語り、自衛隊派遣の可能性について直接の言及を避けた。
日本海上自衛隊はイージス艦や対空ミサイルを装備した護衛艦を保有しており、護衛能力そのものは十分とされる。しかし、イージス艦は北朝鮮のミサイル監視・対応など日本周辺に展開しているため、中東へ派遣した場合、北朝鮮の核・ミサイル対応に空白が生じる可能性があるとの懸念が指摘されている。
日本は1990年の湾岸戦争の際、停戦合意後に自衛隊法に基づきペルシャ湾へ護衛艦と掃海艇を派遣し、機雷除去作業を実施した。日本の掃海艇は世界的に高い技術力を持つと評価されている。ただし、停戦合意前の機雷掃海は武力行使と見なされる可能性があり「存立危機事態」の認定が必要となる。
高市早苗首相は12日、衆議院予算委員会で「機雷除去のための事前の自衛隊前方展開は想定していない」と答えた。日本経済新聞は、集団的自衛権の行使、重要影響事態、国際平和共同対処事態という3つのシナリオを分析し、国際法遵守という法的前提が最大の障害になる可能性があると指摘した。
ホルムズ海峡は世界の原油輸送量のおよそ3分の1が通過する要衝だ。イランによる封鎖の影響で船舶の通航量は1日138隻から1~2隻へと急減した。G7は石油備蓄協定の参加国と協力し、4億バレルの備蓄原油を共同で放出することも決めた。G7は多国籍海軍による連合体制の構築を模索しており、日本政府はエネルギー安全保障と法的制約の双方を踏まえ、自衛隊派遣の是非を内部で検討している。
















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