
イラン戦争を主導したイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と、ドナルド・トランプ米大統領の支持率が下落し、政治的な苦境に立たされている。
トランプ大統領は、フロリダ州のマー・ア・ラゴ邸がある選挙区で行われた州議会補欠選挙で、民主党候補が勝利する打撃を受けた。一方、ネタニヤフ首相は、予算案が可決されなければ敗北が見込まれる早期総選挙に直面している。
ネタニヤフ氏は、今月31日までに予算案を成立させ、早期総選挙の回避に全力を挙げている。当初はイラン戦争の開戦によって支持率の上昇を図り、予算案の円滑な成立につなげる狙いがあったが、戦況が思うような成果を上げず支持率も低下したことで、厳しい政治状況に直面している。
19日付のタイムズ・オブ・イスラエルの世論調査によると、総選挙が実施された場合、ネタニヤフ氏率いるリクードは第1党を維持するものの、議席数は現在の34から28に減少する見通しだという。連立与党全体でも51議席にとどまり、過半数の確保には届かないと予測されている。イスラエル議会は定数120議席となっている。
当初、ネタニヤフ氏側はイランの最高指導者アリ・ハメネイ師の排除という「開戦初期の一撃」を追い風に、10月と見込まれていた総選挙を6月に前倒しすれば、右派連立に有利に働くと判断していたとされる。また、法律上、3月31日までに予算案が成立しなければ90日以内に自動的に総選挙が実施される仕組みを踏まえ、あえて予算案を否決させて早期選挙を誘発する選択肢にも言及していたという。実際に、一部の側近や与党関係者はラジオやメディアのインタビューで、6月選挙の可能性を公然と示唆していた。
しかし、対イラン攻撃の開始から4週間が経過しても、イラン政権の打倒や体制崩壊といった目標の達成に向けた進展は見られず、世論も悪化した。このため、ネタニヤフ氏は早期総選挙を回避する方向へ戦略を急転換したと伝えられている。ヘブライ大学の政治学者であるギディオン・ラハト氏は、ネタニヤフ氏の現在の戦略について「時間稼ぎだ」と指摘したうえで、戦争と短期間の休止、さらに次の戦争が繰り返される構図が、有権者の疲労感を強めていると分析している。
ネタニヤフ氏は、イラン戦争の費用が膨張する中でも予算案の成立を図るため、連立与党に対して選挙を意識した財政配分を進めている。過半数の確保に不可欠とされる超正統派政党に対し、宗教学校への支援として約50億シェケル(約2,554億8,000万円)を割り当てたと伝えられている。超正統派政党のシャスとユダヤ・トーラ連合(UTJ)はこれまで、超正統派信者の兵役免除の法制化がなければ予算案に反対する構えを示していたが、今回の財政支援を受けて反対姿勢を軟化させたとみられる。
ネタニヤフ氏を巡る汚職事件の裁判も引き続き進んでいる中、同氏はトランプ大統領の公然とした支持を背景に、イスラエルのイツハク・ヘルツォグ大統領に恩赦を求めている。審理中の恩赦は、イスラエルでは前例がないとされる。

一方、トランプ氏もフロリダ州のマー・ア・ラゴ邸がある選挙区で実施された州議会補欠選挙で、自ら支持した共和党候補が民主党候補に敗れ、政治的打撃を受けた。
24日に行われたフロリダ州下院第87選挙区の補欠選挙では、民主党のエミリー・グレゴリー氏が、共和党のジョン・メイプルズ氏を破り、議席を奪還した。同選挙区は、2024年の米大統領選でトランプ氏が約11ポイント差で勝利した共和党の地盤とされており、同氏の地元でも有権者の動向に変化の兆しが出ているとみられる。
トランプ氏は投票前日の23日、自身のSNS「トゥルースソーシャル」に長文を投稿し、メイプルズ氏への支持を強く訴えたが、結果は大敗に終わった。党内からは、トランプ氏の支持が持つ影響力が以前ほどではないとの見方も出ている。勝利したグレゴリー氏は選挙戦で、物価上昇や生活費の負担、地域経済の課題を前面に訴えていた。
トランプ氏の支持率も、再任後で最低を更新した。
ロイターが世論調査会社イプソスと共同で20~23日に実施した調査(誤差±3ポイント)によると、トランプ氏の職務遂行を肯定的に評価した割合は36%で、前週の40%から4ポイント低下したという。再任後では最低水準となる。
トランプ氏の支持率は再任直後に47%を記録し、その後も昨年夏以降はおおむね40%台を維持してきたが、今回初めて40%を下回った。物価対策について「評価する」と答えたのは25%にとどまり、イラン戦争については35%が支持した一方、61%が反対した。
世論調査の集計サイト、リアルクリアポリティクスによる平均値では、トランプ氏の国政運営に対する支持率は41%にとどまる一方、不支持は56%に上っている。支持と不支持の差はマイナス15ポイントとなり、2期目就任以降で最も低い水準となっている。
















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