
ドイツ政府は、対米依存度を下げ、欧州主導の安全保障能力を強化することを柱とした初の軍事戦略を発表した。段階的な軍備拡張により、欧州最大の通常戦力を保有・育成することを目標に掲げている。
米政治専門サイトのポリティコによると、ドイツのボリス・ピストリウス国防相は22日(現地時間)、こうした内容を盛り込んだ新たな軍事指針を公開した。「ドイツ連邦軍を欧州で最も強力な通常戦力へと発展させる」と宣言した。
ピストリウス国防相は、短期的には防衛力とレジリエンスを高め、中期的には中核となる防衛能力を大幅に強化、長期的には技術的優位性を確立する方針を強調した。
今回の戦略の核心は、米国の安全保障における空白に備えた「欧州の自立」にある。
新戦略では、米国が依然として北大西洋条約機構(NATO)において不可欠な存在であることを認めつつも、同国の戦略的焦点が徐々にインド太平洋地域へとシフトしていると指摘した。
こうした背景から、ドイツはNATO内でより大きな責任を担う必要があるとし、単なる加盟国としての目標達成にとどまらず、欧州大陸の安全保障や共同作戦の遂行において中心的な役割を果たすべきだと強調した。
今回の戦略は、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて進められてきた、ドイツの安全保障政策における歴史的転換点を象徴するものと評価されている。ドイツは2022年以降、1,000億ユーロ(約18兆6,800億円)規模の特別国防基金を創設したほか、防衛費増額に向けた財政規制の緩和、武器調達プロセスの刷新、さらに兵力や予備役の拡充を進めてきた。
軍事力の強化は、今後10年間で3段階にわたって実施される。
第1段階(〜2029年)では即応体制の整備と持続的な作戦能力の最大化を図り、第2段階(〜2035年)でNATOの目標に準拠した全領域における戦力の拡充を進める。最終的な第3段階(〜2039年)では、革新的なテクノロジーと次世代戦力を基盤とした先進的な軍隊への転換を目指す。
今回の戦略は、従来の兵力数や装備数といった規模重視の考え方から脱却し、長距離攻撃能力や防空・ミサイル防衛能力といった実戦的な軍事力の強化に重点を置いているのが特徴だ。
また、人員面も大幅に増強する方針だ。現役兵と予備役を合わせ、少なくとも計46万人という目標値を掲げた。現在、ドイツ連邦軍の現役兵は約18万5,000人にとどまっている。
米国のドナルド・トランプ政権の下で米国の欧州への関与が低下する可能性を反映したのかという問いに対し、ピストリウス国防相は明言を避けつつも、そうしたシナリオを検討していることは認めた。また、「NATOが大西洋同盟として存続するためには、さらなる欧州化が必要だ」と指摘したうえで、「欧米間での適切な負担分担こそが、同盟のバランスと結束を維持する鍵となる」と強調した。
















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