
米国とイスラエルによるイラン空爆で始まった戦争は、28日で59日目を迎えた。米国とイランは、戦争をどう終わらせるかを巡って、なお主導権争いを続けている。
米国はイランの核問題で踏み込んだ譲歩を求める一方、イランは米国による封鎖解除と戦争終結の保証を合意の出発点に据えており、双方の隔たりは埋まっていない。
ニューヨーク・タイムズによると、イランは25日、パキスタンを通じて、ウラン濃縮を5年間停止した後、さらに5年間は低水準の濃縮にとどめる案と、高濃縮ウランを希釈したうえで半分を国内に保管し、残る半分をロシアへ移送する案を示した。
しかし、米国は20年間のウラン濃縮停止と高濃縮ウランの全面搬出を求めており、この提案を受け入れなかった。これを受け、イランは現状では核協議の進展は難しいと判断し、まず戦争終結から解決を図る方向へとかじを切った。
ただ、米国のドナルド・トランプ大統領は27日、イランの先に終戦し、その後に核協議を進めるという提案について報告を受けた後、側近らに満足できないとの受け止めを示したとされる。
CNNも当局者2人の話として、トランプ大統領がこの提案を受け入れない考えをにじませたと伝えている。最近提示されたイラン側の構想を受け入れる可能性は低いとの見方も報じた。
現時点でトランプ大統領本人の直接発言は出ていないものの、米国がイランの海上封鎖解除を前提とする先行終戦案を受け入れるのは難しいとの見方が強い。
開戦の主因となった核問題を少しでも有利に決着させるには、イランに圧力をかけ続ける手段を維持する必要があるためだ。海上封鎖を解けば、核協議で主導権を握りにくくなる可能性がある。
トランプ大統領は、自ら離脱を決めたバラク・オバマ政権時代のイラン核合意、包括的共同作業計画(JCPOA)で定められた15年間、3.67%以下の濃縮よりも厳しい合意が必要だとみている。あわせて、親イラン武装勢力の遮断や弾道ミサイル削減も実現させたい考えだと伝えられている。
匿名の当局者はCNNに対し、イランのウラン濃縮や高濃縮ウラン備蓄の問題を解決しないままホルムズ海峡を再開すれば、米国は最大の交渉カードを失いかねないと語っている。
一方のイランも、安全保障面でも経済面でも何の確約も得られていない段階で、核問題だけを譲って交渉に入ることはできない。

イランの対米戦略は、核活動に関する最低限の権利を守りつつ、それをてこに制裁解除などの経済的見返りを最大限引き出すことにあるとみられる。
アルジャジーラによると、イランは今後、信頼できる水準までの対イラン制裁緩和に加え、海外で凍結された資産1,000億ドル(約15兆9,600億円)の解凍、さらに2,700億ドル(約43兆1,000億円)規模の戦争被害賠償を求めているという。
そのため、核活動の一部制限と経済的見返りを引き換えにする肝心の協議がまだ始まっていない以上、まずは休戦合意の段階に立ち返り、ホルムズ海峡を巡る対立を先に解いてから本格交渉に入るべきだとイラン側は主張している。
AP通信によると、イランは米国が海上封鎖を解除し、戦争終結を保証するのであれば、休戦合意に沿ってホルムズ海峡の通航を再開する考えを伝えた。
しかし、米国のトランプ政権は、イランが通航料徴収の制度化を進めている点を問題視しており、この提案を事実上退けたとみられている。米国のマルコ・ルビオ国務長官は、イランと協議して許可を得なければ、攻撃したり費用を課したりするということだと述べた。
こうした中、イラン側でも長期戦を織り込む空気が広がっている。米国が海上封鎖を解くことはないとみて、パキスタンやトルコ方面との陸路貿易や、カスピ海経由でロシアとの物資輸出入を進めているとされる。
もっとも、双方が現在の立場を守り続ければ、終戦は事実上不可能になるとの見方もある。そのため、仲介国が今後数日以内に米国とイランの隔たりを狭め、協議再開の糸口を探る可能性も否定できない。
イランの先に終戦し、その後に核協議を行うという提案に対する米国の正確な立場も、トランプ大統領が否定的だとする当局者の証言が伝えられているだけで、正式には発表されていない。
CNNは28日、仲介国側の情報筋の話として、両国の隔たりは外見ほど大きくないと伝えた。
水面下では激しい外交折衝が続いており、協議は段階的な解決策に焦点を移しているという。
そのうえで、通航制限や通航料を設けずにホルムズ海峡を再開放し、戦争前の状態へ戻すことが潜在的合意の第一段階になるとの見方を示した。米国とイスラエルが開戦の名分としてきた核問題は、その後の段階で扱われる可能性があるとしている。
イランがホルムズ海峡の完全な自由通航を受け入れれば、両国の協議が一気に前進する可能性があるとの楽観的な見方も出ている。














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