専門家「技術力は認めるが、日程は過度に楽観的」
軌道上での燃料補給・生命維持装置・経済性など課題山積

イーロン・マスク氏が率いる宇宙企業スペースXが、火星居住地の建設や宇宙軌道上の人工知能(AI)データセンターといった野心的な構想を打ち出している。しかし、専門家の間では、実現可能性や日程が過度に楽観的だとの指摘が出ている。
AFP通信によると、専門家らは12日(現地時間)、スペースXが再使用ロケットの開発を通じて世界の宇宙産業の構図を変えた点は認めつつも、マスク氏が示す長期目標には技術的・経済的な難題が十分に反映されていないと評価した。
火星協会のロバート・ズブリン会長は、「スペースXが多くの成果を上げてきたことは明らかだ」としながらも、「マスク氏は現実的とは言い難い主張をたびたび示しており、提示した日程も繰り返し先送りされている」と述べた。
専門家らは、スペースXが人類を火星に送ることには成功する可能性がある一方、大規模な人口が暮らす居住地を建設することはまったく別の問題だと指摘している。
ドイツ・ドレスデン工科大学で宇宙輸送部門を率いるクリスティアン・バッハ氏は、「未解決の技術的・生物学的課題が多く、少人数を火星に定住させることさえ、今世紀中には難しい可能性がある」との見方を示した。
専門家らによると、火星との往復には約3年かかるため、酸素や水を再利用する生命維持システムが必要になる。また、乗組員や貨物を載せたスペースXの「スターシップ」に対し、宇宙空間で液体酸素や液体メタンを移し替える軌道上燃料補給技術も不可欠だが、これはまだ実際には実現されていない。
米航空宇宙局(NASA)の元高官であるスコット・ハバード氏は、スターシップの打ち上げ技術を完成させるだけでなく、宇宙飛行士のために酸素や水を再利用する新たな生命維持システムが必要だと指摘した。
ハバード氏は、「スペースXの技術陣には関連する問題を解決する能力があるだろうが、問題は日程だ」とし、スペースXが単独で火星計画を進めるには限界があり、NASAの参加が必要になるとの見方を示した。
スペースXが掲げる宇宙AIデータセンター構想にも懐疑的な見方が出ている。大量の電力を消費するデータセンターを地球外に移す構想は魅力的に見えるものの、打ち上げや維持・保守コストを考えると、現時点では経済性に乏しいという。
ジョージタウン大学の宇宙産業アナリスト、キャスリン・カーリー氏は、「技術的な障害をすべて克服したとしても、経済性の問題が残る」とし、「現時点では妥当とはいえない」と述べた。
ズブリン会長は、宇宙AIデータセンター構想について「現実味に乏しい」と評価し、マスク氏が過去の相次ぐ成功によって、周囲の反論を受け入れにくくなっている可能性があるとの懸念を示した。
ただし、スペースXは企業公開(IPO)を通じて巨額の資金を確保しており、火星探査や月着陸船、宇宙AIデータセンターなど、複数の大型事業を同時に進める余力はあるとみられている。
スペースXはIPOで1株135ドル(約21,000円)で約5億5,556万株を売却し、史上最大規模となる750億ドル(約11兆円)を調達した。企業価値は約1兆7,700億ドル(約269兆円)と評価された。12日にナスダックに上場し、取引が始まる。













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