対米投資第3弾もSMRか…原発関連投資だけで10兆円超の可能性

対米投資総額5,500億ドル(約88兆円)のうち、約10兆円が小型モジュール炉(SMR)の建設に投じられる見通しだ。第2弾投資に続き、第3弾投資でもSMRが主要案件として浮上している。エネルギー安全保障が重要課題となっている米国に対し、SMR分野への投資を積極的に拡大しているとの見方が出ている。
12日、日本経済新聞は米政府高官の話として、米SMR企業のニュースケール・パワーに最大250億ドル(約4兆円)を投資する案が浮上していると報じた。日経は、このSMR投資が第2弾または第3弾の投資案件として採用される見通しで、近く正式発表される可能性が高いと伝えた。
第2弾投資として発表したSMR建設計画についても詳細協議が進められている。ニュースケール・パワーへの投資に加え、第2弾投資計画まで確定すれば、米国向けSMR投資額は10兆円を超えることになる。
日経は「日米両政府は、GEベルノバと日立製作所が建設するSMRに対し、最大400億ドル(約6兆4,000億円)を投資する案について最終調整に入った」と伝えた。また、「建設候補地として米南部テネシー州が有力視されており、米政府はすでにSMRの認可手続きを開始したとされる」と付け加えた。今年3月の日米首脳会談では、5,500億ドル規模の貿易合意に基づく第2弾対米投資プロジェクトとして、SMRや天然ガス発電施設の建設を進めることで合意しており、今回その内容がさらに具体化した形だ。
赤沢亮正経済産業相とハワード・ラトニック米商務長官は今月初め、この計画についてオンラインで協議したと日経は伝えた。
これについてラトニック長官は日経との電話インタビューで、「米国はSMR分野で世界をリードしたい」と述べ、「米国内でSMRを大規模に建設するためのサプライチェーンを日米で構築し、その技術を世界へ輸出する絶好の機会になる」と強調した。
また、「米国ではデータセンター建設や半導体産業の成長によって電力需要が高まっている」とした上で、「特に原子力発電は有望な投資先であり、米国と日本の長期的利益につながる」と語った。
対米投資を約束した各国の中でも、最も早いペースで投資を進めている。今年2月には対米投資第1弾として、ガス火力発電所、原油輸出インフラの拡充、人工ダイヤモンド製造などを選定し、総額360億ドル(約5兆8,000億円)の投資を表明した。さらに3月には、第2弾プロジェクトとしてSMRや天然ガス発電施設、バッテリー材料生産などに総額730億ドル(約11兆7,000億円)を投資すると発表した。

ドナルド・トランプ米政権は、AI革命や米中AI競争への対応に向けた電力インフラ拡充策として原子力発電を重視しており、日本資本を呼び込んで大規模な拡張を進めようとしている。
トランプ米大統領は2050年までに原発の設備容量を現在の4倍に拡大し、2030年までに原発10基の建設に着工する計画だ。しかし米国では、1979年3月のスリーマイル島原発事故以降、新規原発建設が停滞している。このため、短期間で建設できるSMRに注目が集まっている。SMRは大型原子炉に比べて発電出力は小さいものの、工場で量産できるほか、データセンター近隣にも設置できる利点がある。
一方、政府による拙速な対米投資には国内から批判の声も上がっている。3月に第2弾投資が発表された際、企業の間では、第1弾投資の収益性評価や契約締結も終わっていない段階で政府が急ぎ過ぎているとして不満が噴出した。毎日新聞は「中国を念頭に、対米投資第1弾を早期に決定することで強固な日米関係をアピールしようとした」と指摘し、経済合理性よりも政治的アピールを優先したとの見方を示した。
また、米国の原発投資に関連して事故が発生した場合の賠償責任を懸念する声もある。これに対し、米政府高官は「これは米国の原子力事業であり、日本側に賠償責任はない」と説明したという。
米国は欧州連合(EU)や台湾にも積極的な投資を求めている。昨年締結された米EU貿易合意には、EU企業が今後数年間で米国に約6,000億ドル(約96兆円)を投資する内容が盛り込まれた。EU企業は主にエネルギー、製造業、AI・データセンター、防衛産業分野への投資を計画しているという。欧州委員会はグリーンランド問題以降、追加協議には慎重姿勢を示していたが、今年3月に委員会レベルで投資を承認し、EU加盟27か国による承認手続きを進めている。
台湾では政府の承認手続きが完了し、TSMC主導による半導体受託生産(ファウンドリー)関連施設の建設が加速している。TSMCは米国に1,650億ドル(約26兆4,000億円)を投資し、先端半導体工場の建設や研究開発事業を進める計画だ。













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