「私がいなければ、イスラエルはとっくに吹き飛んでいた」

米国のドナルド・トランプ大統領は16日、レバノンの武装政党ヒズボラを巡る問題について、シリア政府に対応を任せた方がよいとの考えを示した。終戦交渉のさなかにもレバノンへの攻撃を続けてきたイスラエルの行動に対し、不満が噴き出したものと受け止められている。
フランス・エビアンで開かれた主要7か国(G7)首脳会議に出席したトランプ大統領はこの日、「イスラエルはヒズボラとあまりにも長く戦っており、あまりにも多くの人が命を落としている」と指摘する。そのうえで、「ヒズボラ問題はシリアに処理させるようイスラエルに提案した。シリアの方がその任務をうまく果たせると思う」と述べた。
今回の発言は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に向けた公然の叱責であり、怒りの表れとみられる。ホルムズ海峡の再開放に向け、米国がイランとの終戦交渉に力を注いでいた局面で、イスラエルがレバノンを奇襲攻撃するなどしてイランを刺激した構図とされる。トランプ大統領はこの日も、「米国と私がいなければ、イスラエルはとっくに吹き飛んでいた。イランとの協定に署名するわずか2時間前、レバノン・ベイルートでイスラエルの空爆があったことは、本当に気に入らない」と述べ、不快感を隠さなかった。
英紙フィナンシャル・タイムズは、トランプ政権が過去8か月間、シリア新政権側に対し、「レバノンに介入し、ヒズボラ掃討に協力してほしい」と水面下で説得を続けてきたと報じた。
ただ、トランプ大統領の提案は現実性に乏しいとの見方も出ている。英中東専門メディア「ミドル・イースト・アイ(MEE)」は、シリア新政権の権力基盤がスンニ派である一方、ヒズボラは強い影響力を持つシーア派組織だと指摘した。トランプ大統領の発言通りにシリア軍がレバノンへ進入した場合、イスラエルとヒズボラの対立は「スンニ派対シーア派」の構図へ拡大し、中東全体を揺るがしかねないという。
シリアは1976年のレバノン内戦以降、29年間にわたりレバノンに軍を駐留させ、事実上占領した経緯がある。当時のシリアは、レバノンの大統領や首相をはじめとする主要政治指導者の選出を直接支配し、内政に干渉したほか、シリアに反対するジャーナリストや民間人を容赦なく弾圧した。米ワシントンの安全保障シンクタンク、民主主義防衛財団(FDD)は、「シリア軍が再びレバノンの地を踏めば、レバノン国内の反ヒズボラ勢力までもが『外部勢力の侵略に対抗しなければならない』として結集する可能性がある」と懸念を示している。













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