核・ミサイル・ヒズボラを抑えられず…トランプ大統領の中途半端な終戦合意に批判も

ドナルド・トランプ米大統領がイランの核開発計画の阻止と中東におけるイランの影響力低下を掲げて始めた戦争を限定的な成果にとどまったまま終結させたことで、米国とイランが締結した終戦覚書(MOU)を巡る議論が続いている。
今回の合意は米国が軍事目標を全面的に達成するよりも、経済的・外交的なコストを考慮して紛争の早期終結を優先した結果だとの見方が出ている。
AP通信や英紙ガーディアンなどによると、トランプ大統領は戦争当初にイランの核開発計画の排除、弾道ミサイル能力の弱体化、さらにヒズボラやハマスを含む親イラン武装勢力への支援遮断を主要な目標として掲げていたという。
しかし、現在までに判明している合意内容は当初の目標と距離があるという評価が多い。
米国はイランから核兵器の開発を進めず、今後も核問題を巡る協議を継続するとの約束を取り付けた一方、弾道ミサイル計画に対する具体的な制限や廃棄条項は盛り込まれていない。また、地域の武装勢力への支援停止についても文書上で明確には示されていなかった。
レバノン情勢でもヒズボラは停戦後も政治的な影響力を維持している。イスラエルが南部の一部地域を緩衝地帯として維持する中、ヒズボラ側は今回の結果を自らの成果と位置付け、勝利を主張している。
専門家らは、米国が戦争を通じてイランの抑止力を当初の想定以上に高く評価するようになったと分析している。
特に、イランの最大の戦略的資産は核施設そのものではなく、ホルムズ海峡を掌握する能力にあったことが戦争終盤の米国の判断を変えたとの見方が出ている。
これまで数多くの戦争シミュレーションでは有事の際にイランがホルムズ海峡を迅速に封鎖するシナリオが想定されてきた。実際に封鎖が実施されれば、原油価格の急騰や世界の供給網への深刻な打撃は避けられないとの懸念も指摘されていた。
米シンクタンク・中東研究所の元米国務次官補バーバラ・リーフ氏はガーディアンに対し「米国はイラン政権の回復力や非対称戦能力を過小評価していた」と指摘した。
リーフ前次官補は「米国は圧倒的な軍事力によって短期間で目標を達成できると判断していたが、実際には数十年にわたり非対称戦力を蓄積してきた相手と対峙することになり、世界経済への打撃が戦争継続の重荷となった」と分析した。
さらに「米国はより大きな目標を断念するか、世界経済への打撃を受け入れるかという選択を迫られ、最終的には早期終戦という現実的な判断を下した」との見方を示した。
一方で、政治的な課題はなお残されている。MOUの内容を巡って共和党内からも批判が相次いでいるためだ。
米ルイジアナ州選出のビル・キャシディ上院議員は今回の合意について「数十年で最悪の外交政策上の失敗だ」と批判した。さらに「イランの核開発の野心を完全に断ち切れず、ホルムズ海峡を脅しの材料として利用する戦略が有効であることを示しただけだ」と主張した。
また、米ノースカロライナ州選出のトム・ティリス上院議員も「公表された内容だけを見る限り、成功した合意とは評価できない」と指摘した。
今回の合意はトランプ大統領がかつて厳しく批判していた、バラク・オバマ米政権時代のイラン核合意(JCPOA)とも比較されている。
トランプ大統領はこれまで、JCPOAはイランに過度な経済的利益を与えたと批判してきた。しかし、今回は凍結資産の扱いや経済復興支援に関する協議を盛り込むなど、より柔軟な対応を選択した。
トランプ大統領は最近、凍結資産について「それは米国の資金ではなくイランの資金であり、特定の時点で凍結されていたものだ」と述べ、返還の可能性にも言及した。
今回のMOUは「最大限の圧力」と「完全な勝利」を掲げていた当初の戦争目標が現実的なコストとの間で修正を迫られた結果、リスク管理と早期停戦を優先する形へと転換したことを示しているとの評価が出ている。
ただし、核問題や中東における勢力均衡を巡る対立が根本的に解消されたわけではなく、今後の協議の行方次第では再び緊張が高まる可能性も残されている。













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