中国やパキスタン、トルコなどが国際紛争の仲介で成果
国連や民主主義国が人権を重視する一方、権威主義国は早期終戦を優先

米国とイランの戦争で仲介役を担ったパキスタンは軍部独裁体制の国だ。昨年11月の憲法改正で軍の権限を大幅に強化しており、パキスタンのシェバズ・シャリフ首相はスイス・ビュルゲンシュトックで開かれる米国とイランの終戦に向けた了解覚書(MOU)の後続協議にも参加する予定となっている。
近年はパキスタンのような独裁・権威主義体制の国が和平仲介役として存在感を示すケースが増えている。人権や民主主義といった理念よりも軍事や経済面での実利が交渉の重要な条件となる事例が増えているためと分析されている。
独裁国家が「和平の仲介役」を自任
英誌エコノミストは18日、和平交渉の主導権が民主主義国家から権威主義国家へ移りつつあると報じた。スペイン・バルセロナ自治大学(UAB)の研究チームによると、昨年世界で行われた53件の和平交渉のうち、少なくとも20件で中国やカタール、サウジアラビアなどの権威主義国家が仲介役を務めたという。一方、かつて国際仲介を主導してきた国連や北欧諸国は交渉への関与自体が減少するか、主導権を握れない状況が続いている。
権威主義国家が仲介に積極的な背景には、自国の国際的な影響力を高めようとする現実的な狙いがあるとみられる。パキスタンは今回の米国・イラン戦争の仲介を通じ、米国や湾岸諸国との外交的な影響力を拡大した。これまで米国はパキスタンの宿敵であるインドをより重要な外交相手と位置付けてきたが、今回の交渉を機に米国とパキスタンの関係が接近し、米印関係にも変化が生じたとの見方が出ている。
経済的利益を目的に和平交渉へ関与する例も少なくない。2021年から続くミャンマー内戦の仲介を進める中国がその代表例だ。中国は南西部とミャンマーを結ぶ石油・ガスパイプラインに多額の投資を行っているほか、ミャンマー国内の経済特区にも投資している。戦闘が激化すれば国境貿易への影響が避けられないため、終戦実現を目指しているとされる。また、トルコは2024年にソマリアとエチオピアの対立を仲介したことを足掛かりに、ソマリアで防衛産業やエネルギー事業への進出を拡大した。
後退する国連
長年、国際紛争の仲介役を担ってきた国連の影響力は低下している。スイス連邦工科大学チューリヒ校のアラールト・デュールスマ研究員は「国連は現在も紛争仲介に関与しているものの、ガザ地区やウクライナ戦争など主要な紛争では地域大国に主導権を譲っている」と分析した。
米国とイランの戦争でも、国連がイラン担当特使を任命したのは戦闘開始から約1カ月後の3月25日だった。
国連の平和維持能力もこの10年間で低下している。現地に展開する国連平和維持部隊(PKO)は2016年の約10万7,000人から現在は約4万7,000人まで減少した。エコノミストは「国連指導部が仲介の見込みが乏しい紛争に限られた政治的影響力を費やすことを避けようとしているためだ」と分析している。
早期終戦につながる一方、課題も
権威主義国家による仲介は一定の成果も上げている。人権や民主的改革を重視する国連や西側民主主義国とは異なり、権威主義国家は当面の戦闘停止や国境地帯の安定を優先する傾向があるためだ。
エコノミストは「複数の研究によると仲介国が強制的な手段を用いた場合、終戦合意をより早く実現できる傾向がある」と指摘した。
ただし、このような仲介は紛争の根本的な解決にはつながりにくいとの指摘もある。紛争当事者が自発的に妥協するのではなく、軍事的・経済的な圧力を回避するため、やむを得ず合意に応じるケースが多いためだ。
デュールスマ研究員によると、仲介が最終的な和平協定の締結まで至った割合は1989~2013年の3.9%から、2014~2023年には2.1%へ低下したという。

















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