AppleのiPhoneの最大受託生産企業として知られる鴻海精密工業(Foxconn)が、AIブームを追い風に1~3月期の売上高で約12兆円を記録した。
生成AIの普及を背景に、世界の大手IT企業がデータセンターへの投資を拡大したことで、NVIDIA製GPUだけでなく、それを搭載したAIサーバーの製造を手がける企業も新たな成長の原動力を得たためだ。
iPhoneの受託生産企業としてのイメージが強かった鴻海精密工業は、AI時代を支える中核サプライチェーン企業へと変貌を遂げつつあるとの見方が出ている。

5日(現地時間)、ロイター通信によると、鴻海精密工業の今年の4~6月期の売上高は2兆5,130億台湾ドル(約12兆7,200億円)となり、前年同期比39.8%増加した。これは、英国の金融情報会社LSEGがまとめた市場予想の2兆3,720億台湾ドル(約12兆円)を上回る結果となった。6月の売上高も8,218億台湾ドル(約4兆1,600億円)と、前年同月比52.1%増加し、6月としては過去最高を更新した。
鴻海精密工業の成長をけん引しているのが、AIサーバー事業だ。同社は世界最大の電子機器受託製造サービス(EMS)企業で、AppleのiPhoneの最大受託生産企業として知られるほか、NVIDIAの主要なAIサーバー製造パートナーでもある。これまで同社はiPhoneの生産を成長の柱としてきた。Appleの新製品発売サイクルやスマートフォン市場の動向が業績を左右するほどだった。しかし、生成AIを巡る開発競争が本格化する中、AIサーバー事業が新たな成長の柱として台頭している。
さらに、MicrosoftやAmazon、Googleなど世界の大手IT企業がAIインフラへの投資を拡大していることを受け、AIサーバーの需要も急速に伸びている。鴻海精密工業は、AI関連製品の需要拡大がクラウド・ネットワーク製品部門の売上増加につながったと説明した。さらに、iPhoneを含むスマート電子機器部門の売上も増加したことから、既存のiPhone事業に代わるものではなく、AIサーバーという新たな成長の柱を得た結果とみられる。
AIサーバー市場は、高い成長が見込まれる分野とされている。高性能GPUやメモリー半導体、冷却システムなど、高度な技術が不可欠なためだ。このため、生成AI開発競争を繰り広げる世界の大手IT企業を中心に、データセンターの整備へ巨額の投資が進められている。こうした市場環境を背景に、AIサーバー事業は今後、鴻海精密工業の新たな成長の柱になると予想されている。
こうした流れを受け、鴻海精密工業は当面、成長基調が続くと見込んでいる。第3四半期(7~9月)の業績についても、前四半期および前年同期を上回ると予想しているほか、AIラック(AIサーバーと関連機器を一体化したシステム)製品も引き続き成長するとの見通しを示した。
もっとも、不透明要因も残る。鴻海精密工業は「変動の大きい世界の政治・経済情勢を引き続き注視する必要がある」との認識を示した。米中の技術覇権争いや関税政策の変化など、地政学的・経済的な不確実性が世界のサプライチェーンに影響を及ぼす可能性があるためだ。AIサーバーという新たな成長の柱を築いた鴻海精密工業が、こうしたサプライチェーンを巡る不確実性の中でも成長を維持できるかが注目される。













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