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DC市民「戦争でも起きるのか」、治安は回復したものの不安の声も

望月博樹 アクセス  

引用:depositphotos*この画像は記事の内容と一切関係ありません
引用:depositphotos*この画像は記事の内容と一切関係ありません

米首都ワシントンDCのホワイトハウス周辺は、週末の15日(現地時間)も平日に比べて閑散としていた。ホワイトハウスから北西に2ブロック離れたファラガット広場周辺の地下鉄駅前では、背中に「州兵(National Guard)」と鮮明に表示された兵士たちの姿が見受けられた。二人組で会話を交わしながら時間を過ごす光景は、近年のDCでは珍しくない日常の一幕となっている。

8月11日は、ドナルド・トランプ大統領がホームレス対策と犯罪撲滅を名目に首都ワシントンDCに州兵を投入してから100日目を迎えた。州兵の展開後、DCからホームレスが姿を消し、都市の景観が改善されたとの評価も少なくない。

もっとも、州兵はDC南東部などの危険地帯や治安が不安定な地域ではなく、ホワイトハウス近くの地下鉄駅や公園といった比較的安全な場所で主に目撃され、ゴミ拾いなどの活動のみを行っていると報じられている。

同日、DC西側にあるロッククリーク公園の入口付近は、今年初めまでホームレスのテントで埋め尽くされていた。しかし、州兵の投入に伴い実施されたテント撤去作業の結果、ホームレスが滞在していた痕跡として、一部の落書きだけが残された。

清潔になったDC、募る不安感

バージニア州に住み、ワシントンDCに通勤するモーガン氏は、「軍人がDCに入ってきて、とにかく都市がきれいになったのは事実だ」と述べ、「これまでDC政府に望んでいたのは、まさにこうした対応であった」と語った。

また、ロッククリーク公園でジョギングをしていた白人女性は、「ホームレスのテントが消えたことで、ジョギングコースを変更せざるを得なかった」と話している。

しかし、銃を携行した軍人の存在に違和感や不安を覚える市民も少なくない。南米出身の市民権保持者は、「DCに遠足に行った小学3年生の娘が、なぜDCに軍人がいるのか、戦争が起こるのかと家に帰って泣いていた」と語り、「一体なぜ首都の中心に軍人が常駐しなければならないのか」と疑問を呈した。

州兵投入の効果について、トランプ大統領は「ワシントンDCとロサンゼルスに州兵を投入し、犯罪率を低下させた」と自賛した。ワシントンメトロポリタン警察局(MPD)によると、州兵が配置された8月11日を基準に、直前の1か月と比較して直後の1か月間の暴力犯罪は約28%減少したとされる。

一方、ミューリエル・バウザーDC市長は「州兵ではなく連邦政府の支援の方が犯罪予防には効果的だ」と述べ、「州兵投入は単なる政治的パフォーマンスにすぎない」と批判した。これは、州兵が実際には危険地帯ではなく、ナショナルモールや地下鉄駅など人出が多い場所に主に配置されているとの指摘と関連している。 

地域メディア『FOX5ニュース』の報道によると、先月24日午後から25日午前までの9時間の間に、DC郊外の危険地帯で合計6件の銃撃事件が発生し、12人が銃撃を受けたという。 

また、ホームレス対策についても賛否が分かれている。根本的な支援や施策なしに単にDCから「片付ける」だけでは、ホームレスはより郊外へ移動せざるを得ず、さらに不安定な状況に置かれるとの指摘もある。

実際に、州兵が巡回していた大通りからわずか2ブロック離れた、通りからは見えないマクドナルド前には、着古した服を着たホームレスたちがぼんやりと座っている姿が見受けられた。

メリーランド州に住む韓国系住民は、「DCから追い出されたホームレスがバージニアやメリーランドに移動してくるという話を耳にする」と述べ、「タウンハウス周辺に彼らのテントが出現した場合、すぐに通報して撤去しなければ、ホームレスが一斉に押し寄せるのが近所の常識になっている」と語った。

トランプ大統領の狙い

トランプ大統領による州兵投入は、DCだけで行われたわけではない。昨年6月には、不法移民の取り締まりに反対するデモが激化したことを理由に、カリフォルニア州ロサンゼルスに州兵が投入されたのが最初であった。

州兵は米国独自の軍事組織で、平時には州知事の指揮下に入り、予備軍として州内の治安維持や災害救助などの任務を担う。しかし、特定の状況下では連邦政府、すなわち大統領の指揮下に入ることも認められている。

特定の状況とは、内乱や暴動など、州政府レベルで対処できない事態が発生した場合を指し、この場合は州知事の同意が必要となる。ワシントンDC以降、トランプ大統領が州兵を投入した、あるいは投入を試みたイリノイ州シカゴ、カリフォルニア州サンフランシスコ、オレゴン州ポートランド、テネシー州メンフィスなどの都市では、いずれも訴訟や投入の挫折が相次いだ。その背景には、「州知事の同意が必要」という法律上の規定が存在するためである。

偶然にも、トランプ大統領が深刻な犯罪率や治安不安を理由に州兵の投入を試みた地域は、いずれも民主党が強い地域、あるいは州知事や市長を民主党が占める地域であった。このことから、トランプ大統領が明確に「味方」と「敵」を区分する政治構造を意図的に作り出しているとの分析が出ている。不法移民に対する強硬政策を通じて、民主党政権の不法移民受け入れや国民の不安を対比的に際立たせたり、民主党政権の過度なポリティカル・コレクトネス(PC・政治的正しさ)重視に対する中道層の疲労感に訴えかける政策を展開した、という趣旨である。

トランプ大統領と政治的に最も対立したバラク・オバマ前大統領は先月、トランプ大統領の州兵投入について、「一般犯罪を暴動やテロ行為と見なすことは、民主主義への理解を弱体化させようとする試みだ」と批判した。

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