
ロシアがウクライナ占領地内における「財産強奪」を事実上合法化し、数千人のウクライナ人が住居を失う危機に直面していることが明らかになった。ウクライナメディアの「キーウ・インディペンデント」が11月23日(現地時間)に報じた。
ロシア連邦議会下院(国家院)は最近、ウクライナ人がロシアの法的手続きに基づき財産を登録していない場合、国家が私有財産を収用することを可能にする新法案を可決した。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が即座に署名した同法案では、占領当局が所有者不在と見なした住宅を押収できることが規定された。また、有効な証明書類を保持していないウクライナ人の財産についても、没収の対象に含まれる可能性が明記されている。
所有権の証明には本人の直接訪問が義務付けられており、提出書類はロシアのパスポートを提示した場合にのみ有効とされる点が問題視されている。
「キーウ・インディペンデント」は、同法案について、ロシア政府が不法に併合したウクライナ領土の統制を強化し、残留住民の「ロシア化」を加速させるための措置であると分析している。
占領研究センターのペトロ・アンドリュシチェンコ所長は、同法により、占領当局が所有権証書の発行を拒否するだけで、いかなる財産でも自由に没収できる権限が公式に合法化されたと指摘した。
同氏によると、占領地では既に約5,000戸の集合住宅がロシア側に占拠されており、毎週100戸から200戸が新たにロシア人の手に渡っている状況であるという。
侵攻開始後に避難したウクライナの人々は、突如として財産を剥奪される事態に直面している。新法に基づき、押収された住宅はロシア側が任命した公務員や軍人、法執行官、教職員、医師らのための公舎として割り当てられるほか、特別賃貸契約を通じてロシア市民に貸し出される可能性がある。
同法は、占領地内に留まるウクライナ人の避難計画にも影を落としている。
占領地からの避難を支援するボランティア団体の共同代表を務めるユリア・ヴォクラ氏は、多くの住民が住宅を奪われることを懸念して避難の決断を躊躇していると指摘し、同法が人々の避難の意思決定を左右する可能性があると言及した。














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