
2026年の年明け、インドが名目GDP(国内総生産)で日本を追い抜き、世界第4位の経済大国の座に就いた。これはナレンドラ・モディ政権が掲げてきた「ViksitBharat(先進国インド)2047」構想の象徴的な成果である。しかし、約4.2兆ドルに達した華々しい統計数値の裏には、深刻な所得格差と雇用不足という厳しい現実が潜んでいるとの指摘が絶えない。
インドの経済規模は急速に拡大したものの、14億人の国民生活の質は依然として改善の余地が大きい。2024年時点でのインドの1人当たりGDPは約2,700ドル(約42万5,000円)にとどまり、日本の約12分の1という水準だ。マドラス経済学校のN.R.・バヌムルティ学長は、高成長を維持しつつも、この富の偏在を解消しなければ「貧困問題の真の解決は難しい」と分析している。
政府首席経済顧問のV.・アナンタ・ナゲシュワラン氏も、独立100周年にあたる2047年までの先進国入りを達成するには、今後10〜12年間にわたり毎年少なくとも800万人分の雇用を創出する必要があると強調した。
モディ政権は雇用創出の柱として製造業の育成に全力を注いでいる。2025年9月には「物品・サービス税(GST)」の税率構造を刷新。エアコンや350cc以下の二輪車などに適用されていた28%の最高税率を18%に引き下げるなど、消費刺激と製造業の競争力強化を図っている。しかし、GDPに占める製造業の比率は16〜17%前後で推移しており、政府目標の25%達成には依然として壁がある。
また、立ち遅れた農業部門も課題だ。全雇用の約半分を占める農業の生産性は、先進国の半分にも満たない。社会開発委員会のビスワジット・ダール教授は、1960年代の「緑の革命」に匹敵する革新が不可欠だと指摘する。農村部の所得向上がなければ、内需主導の持続的な経済成長は望めないためだ。
対外環境も予断を許さない。2025年8月、米トランプ政権はロシア産原油の輸入継続などを理由に、インド製品に対する関税を計50%に引き上げる強硬策を断行した。これにより、繊維や宝石、皮革などの対米輸出は大きな打撃を受けている。インドは欧州や湾岸諸国、BRICS内での貿易拡大を通じて米国発のリスク緩和を模索しているが、保護主義の波が「世界第4位の経済」となったばかりのインドの行く手を阻んでいる。
















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