
ドナルド・トランプ米大統領がイランへの地上軍投入の是非について苦渋の選択を迫られる中、軍事専門家の間ではイラン領内における地上戦の危険性を警告する声が急速に高まっている。
27日(現地時間)、第31海兵遠征部隊(MEU)2,500人と海軍要員1,000人を乗せた強襲揚陸艦が中東域内に到着した。トランプ大統領はさらに1万人規模の追加派兵を検討中とされる。これが決定されれば、米地上軍の投入規模は少なくとも1万3,500人に達し、既に周辺に展開中の兵力と合わせれば5万人を超える見通しだ。しかし、現時点でトランプ政権および米軍執行部が最も危惧しているのは、地上作戦に伴う大規模な人的損害の可能性である。
NATO最高司令官を務めたジェームズ・スタヴリディス元海軍提督は、「CNN」の取材に対し「地上作戦の開始には極めて強い懸念を抱いている。米軍がイラン領内に侵入した瞬間、イラン側は最大限の死傷者を強いるためにあらゆる非対称的な手段を講じるだろう」と警鐘を鳴らした。
また、地上戦の主要目標とされる「濃縮ウランの奪取」についても、実現可能性に懐疑的な見方が強まっている。国際問題戦略研究所(CSIS)の上級研究員ルーベン・スチュワート氏は、「CNBC」に対し「濃縮ウラン奪取は最も非現実的な目標だ」と指摘。ウクライナ戦線などと同様に、地下深くの核施設跡地から核物質を回収するには、敵の猛攻を退けながら重機による掘削作業を並行させる必要があり、戦闘と高度な回収作業の両立は事実上不可能であると分析している。
「人質となった米軍の脱出?最悪の事態になる」
軍事・政治上の最悪のシナリオは、米兵がイラン側に拘束され「人質」となることだ。特に、米地上軍が最優先で確保を試みるとみられるハールク島は、退路の確保が困難な地形的特性から、米軍が逆に「キル・ゾーン(直射火網)」に封じ込められる危険性が指摘されている。
元米陸軍少佐で国防情報局(DIA)の中東・アフリカ地域責任者を務めたハリソン・マン氏は、最近の寄稿で「体制維持を至上命題とするイラン当局にとって、石油施設よりも米兵の人質化こそが最大の外交カードとなる可能性が高い」と述べ、「そこからの脱出劇は、かつての『ブラックホーク・ダウン』や『ダンケルク』のような惨劇に発展しかねない」と警告した。
1993年のソマリア・モガディシュでの「ブラックホーク・ダウン」事件では、精鋭部隊が都心部で孤立し、多数の戦死者を出した。その無惨な映像が世界に流布されたことで米国内の世論は激昂し、当時のクリントン政権は撤退を余儀なくされた。また、1940年の「ダンケルク」は、連合軍が海岸線に追い詰められた大規模撤退作戦を指す。いずれも、戦力の分散と孤立が招く戦略的敗北の象徴である。
山岳地帯と都市部が混在するイランでは、革命防衛隊(IRGC)を中心に親政府民兵や外部武装勢力が地上戦に投入されるとみられる。これら勢力は捕虜を利用した心理戦やプロパガンダに長けており、米軍が人質を取られた場合、軍事的勝利以上に過酷な政治闘争を強いられることになる。
米軍13人死亡、負傷者300人超
28日現在、対イラン軍事作戦開始以来の米軍の戦死者は13人に上り、負傷者は300人を超えている。これらの死傷者は、本格的な地上戦投入以前の、空爆や散発的な交戦の中で発生したものだ。要塞化されたイラン本土での地上戦が現実となれば、犠牲者数は指数関数的に増加することが避けられない。
トランプ政権内でのメッセージの乖離も、こうしたリスクへの迷いを反映している。ホワイトハウス報道官が「現実の地獄を招く準備がある」と地上軍投入を示唆する一方で、マルコ・ルビオ国務長官は「地上軍なしで目標達成可能」と火消しに走るなど、足並みの乱れが目立つ。最新の世論調査では有権者の62%が地上軍投入に反対しており、11月の中間選挙を控えたトランプ大統領にとって、国民の支持と軍事的決断の狭間で苦悩する日々が続いている。
















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