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「空爆しても残ったのは封鎖」トランプ、対イラン戦が逆に不利に

望月博樹 アクセス  

引用:The White House
引用:The White House

米国のドナルド・トランプ大統領は、イランに対して軍事圧力と交渉を同時に進めてきたものの、情勢は思惑とは異なる方向に傾いている。米国とイスラエルによる空爆後もイランの核問題は解決しておらず、ホルムズ海峡の通航正常化も実現していない。さらに、トランプ大統領が再攻撃の可能性に言及し、イラン軍側も紛争再開の可能性に触れたことで、停戦局面は再び揺らぎ始めた。

ロイター通信は2日、イランとの対立がトランプ大統領にとって開戦前よりも悪い結果を残しかねないと分析した。トランプ大統領はイランの核兵器保有阻止を掲げて軍事圧力に踏み切ったが、米国は核交渉とホルムズ海峡問題のいずれでも明確な成果を示せていない。交渉の膠着が続くなか、一部の分析家はイラン戦が長期化し、凍結紛争へ移行する可能性まで指摘しているという。

◆海峡再開を先行提案したイラン、核問題は後段へ

膠着の最大の争点は、何から協議するかという順序にある。ロイターによると、イランは最近の提案で、まずホルムズ海峡を再開し、米国の対イラン海上封鎖も終わらせる案を示している。一方で、核計画を巡る議論は後の段階に回す考えも打ち出した。イラン高官は、この構想を合意の土台を整えるための重大な変更だと説明した。

この提案は、表向きには緊張緩和策に見える。イランは戦闘終結とホルムズ海峡の通航再開に応じる姿勢を示したが、肝心の核問題は先送りしたためだ。今後は制裁解除と引き換えに核計画の制限を協議する一方、米国が平和目的のウラン濃縮の権利を認めることを条件に据えている。

これに対し、トランプ大統領は受け入れに慎重な構えを崩していない。AP通信は、トランプ大統領がイランの新提案を検討しているとしながらも、受け入れ可能性には懐疑的な姿勢を示したと伝えた。トランプ大統領はエアフォースワンに乗り込む前、記者団に対して正確な文言を受け取ることになると述べたが、提案全体には否定的な空気をにじませた。

イランの14項目提案には、戦争賠償、ホルムズ海峡の管理権、制裁解除、米軍撤収要求などが盛り込まれたとされる。米国から見れば、核問題を後景に退けたまま、海峡と制裁を先に処理しようとする内容だ。双方とも戦闘終結を口にしているが、協議の順番と前提条件は正面からぶつかっている。

ホルムズ海峡を巡る対立は、通航料問題にも広がった。米財務省外国資産管理局(OFAC)は、イランが国際水路であるホルムズ海峡で安全通航の見返りを要求しているとして、米国人だけでなく非米国人にも制裁リスクが及ぶと警告した。対象となる支払い手段には現金のほか、デジタル資産、相殺取引、現物払いなども含まれている。

◆合意拒否も示唆、再攻撃の可能性まで言及

トランプ大統領は、交渉と軍事圧力の双方をてこに主導権を握ろうとしている。ニューヨーク・ポストによると、トランプ大統領はイラン案に不満を示したうえで、率直に言えば合意しない方がよいかもしれないとの考えを口にした。さらに、イランが誤った行動を取れば攻撃を再開する可能性にも言及した。

イランも後退していない。ニューヨーク・ポストは、イラン革命防衛隊の高官モハマド・ジャファル・アサディ氏が、米国とイランの衝突が再燃する可能性は高いと警告したと伝えた。イラン軍部からは、米国が地上戦まで試すのであれば受けて立つと受け取れるような強硬発言も出ている。

米国内の強硬派も圧力を強めている。米共和党のリンジー・グラム上院議員は、イランがなお挑発を続けるなら追加攻撃で決着をつけるべきだとの考えを示し、トランプ大統領にさらなる強硬対応を促した。ホルムズ海峡の船舶往来を回復させるため、必要な手段を組み合わせて用いるべきだとも主張している。

ホルムズ海峡は、戦前には世界の原油輸送の重要な要衝だった。イランはこの海峡を交渉材料として握り、米国はイラン港湾の封鎖と通航料を巡る制裁警告で対抗している。通航不安が続けば、国際原油価格と海上物流の双方に打撃が及ぶ。ニューヨーク・ポストは、ホルムズ海峡の事実上の封鎖によって原油価格が1バレル100ドル(約15,700円)を超えたと伝えた。

トランプ大統領が使える選択肢は、時間とともに狭まっている。追加攻撃に踏み切れば、核交渉と海峡正常化はいっそう遠のく可能性が高い。逆にイラン案を受け入れれば、核問題を後回しにしたとの批判を浴びかねない。戦争を終わらせるには一定の譲歩が欠かせないが、強硬な支持層はさらに踏み込んだ圧力を求めている。

トランプ大統領は、イランへの圧力を強めれば、核問題とホルムズ海峡問題を同時に動かせるとみていた。だが、現時点でイランはウラン濃縮の権利を譲らず、ホルムズ海峡も交渉カードとして保持したままだ。空爆は戦端を開いたものの、出口戦略までは示せなかった。イラン戦は今や、勝利宣言も早期終結も容易ではない長期戦の重荷として、トランプ大統領に跳ね返りつつある。

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