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北朝鮮の旧正月レポート 帰省ラッシュなし、代わりに食堂が大盛況…意外と知らない隣国の祝日事情

佐藤美穂 アクセス  

移動の自由が制限され民族大移動がない北朝鮮では、食堂が旧正月料理を求める客で賑わう

男の子たちが親から預かった酒瓶を持って近所を回り、親戚や隣人に新年の挨拶をする風習も

旧正月には金父子の銅像に献花し忠誠を誓う…伝統遊びには共通点も

北朝鮮の旧正月は帰郷ラッシュによる「民族大移動」が起こる韓国とは大きく異なる。北朝鮮では移動の自由が制限されており、居住地以外の地域に行くには通行証が必要なためだ。そのため、大半の店舗が休業する韓国とは対照的に北朝鮮の食堂は旧正月料理を楽しむ客で混雑する。

玉流館(オンニュグァン)や清流館(チョンリュグァン)などの有名店はもちろん、地方の食堂でも様々な旧正月料理が提供されるという。

代表的な旧正月料理には、餅や餃子、チヂミ、焼き肉、スジョングァなどがある。トッククにはキジの肉を入れて作るが、キジがない場合は鶏肉で代用する事から「キジの代わりに鶏」ということわざが生まれたとされる。

旧正月をより重視する韓国とは異なり、北朝鮮の住民の多くは元日に祖先祭祀や新年の挨拶を行う。

韓国の統一部によると、年賀状は主に元日に一年に一度送られる。近年は携帯電話の普及により、旧正月にも新年の挨拶メッセージを送っているという。

北朝鮮では「明けましておめでとうございます」よりも「新年をお祝いします」という表現が一般的だ。

「新年初日に男性が訪れると縁起が良い」という言い伝えから、男の子たちが親から預かった酒瓶を持って近所を回り、親戚や隣人に新年の挨拶をする風習がある。お返しとして食べ物や学用品などが贈られることもあるが、最近では韓国のお年玉のように現金を渡す例が増えているという。

旧正月の伝統遊びは、ユンノリや将棋、板跳び(ノルティギ)、凧揚げなど、韓国とほぼ同じだ。祝祭気分を盛り上げるため、各機関・企業、劇場、映画館、レストランでは様々な形のイルミネーションが飾られることもある。国立交響楽団、国立サーカス団、国立民族芸術団による音楽会や短編劇など、旧正月を祝う公演も開催される。

北朝鮮の住民も韓国と同様に民族の大祝日である旧正月を祝うが、社会主義的に継承・発展させた「我々式の祝日」を強調しているため、その意味合いは韓国とはやや異なる。北朝鮮は日本からの解放後、民俗行事を封建的な残滓とみなした北朝鮮の金日成(キム・イルソン)主席の指示により、旧正月と秋夕(チュソク)を祝日として扱わなかった。しかし、金正日(キム・ジョンイル)国防委員長が体制維持のために強調した「我が民族第一主義」の一環として民俗行事の復活を指示し、1989年から再び旧正月を祝うようになった。

2003年には3日間の公式休日が設けられたが、カレンダーに記載された公式の休日は1日のみだ。ただし、当局の指示により2010年代末からは2日間休むようになったと統一部は伝えている。

旧正月の前日と翌日を含めて3日間休み、週末と重なれば振替の休日も設ける韓国に比べると短い。

北朝鮮当局は旧正月を先祖だけでなく金日成・金正日の業績を称え、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長への忠誠心を強化する宣伝の機会として利用している。北朝鮮の住民にとっては旧正月の時期に金日成・金正日の遺体が安置された平壌(ピョンヤン)の錦繍山(クムスサン)太陽宮殿や万寿台(マンスデ)の丘など、各地の金日成・金正日の銅像を訪れ献花することが慣例となっている。

佐藤美穂
//= the_author_meta('email'); ?>editor@kangnamtimes.com

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