
北朝鮮の金正恩党総書記が、2月下旬に予定される第9回党大会を前に、祖父の金日成主席および父の金正日総書記の政策を相次いで再評価し、独自の統治路線を鮮明にしている。16日、「YouTube」チャンネルの「チョ・ハンボムTV」に出演したチョ・ハンボム博士と、韓国国家戦略研究院北朝鮮研究センターのイ・ヨンジョンセンター長は、この動きを単なる政策修正ではなく、権力基盤の再構築と位置づけた。あわせて、いわゆる「長子血統」にあたるキム・ハンソル氏の存在が、今後の北朝鮮情勢における不確定要素になり得るとの認識を示した。
金総書記は最近、金日成主席が1964年に提示した農村近代化指針「農村テーゼ」について、人民が疲弊を免れなかったと述べ、評価を引き下げた。また、金正日時代の畜産政策スローガンである「草原を肉に変えよう」も、現実性を欠いた試みであったと指摘している。体制の正統性の源泉とされてきた先代路線に対する公的な言及は、体制の再定義を巡る重要な動きと受け止められている。
イ・ヨンジョンセンター長は、政権初期に金日成主席の外見や服装を模倣して象徴性を継承してきた経緯に触れた上で、政権発足から15年を経て、先代の影から距離を置き、独自の「正常国家」像を強調する段階に入ったと分析した。これは歴代指導者との連続性よりも、自身の統治正統性を前面に据える構図といえる。
一方、最近公開された三光畜産農場の視察では、金総書記がチーズの生産工程を確認する様子が伝えられた。エメンタールやラクレットなど、国内で一般的とは言い難い食品への関心は、10代でのスイス留学経験と関連付けられている。スキー場や遊覧船、温泉リゾートの建設に続き、食の分野でも西洋的要素を導入する動きは、体制の成果演出と民生政策の象徴性を兼ねるものとみられている。

ただし、体制内部には未解決の血統問題も残っている。2017年にマレーシアで殺害された金正男氏の長男、キム・ハンソル氏の存在だ。1995年生まれで現在は31歳とされ、パリ政治学院など西側で教育を受けた経歴を持つ。イ・ヨンジョンセンター長は、同氏の動向が急変事態の際の変数になり得ると指摘し、海外に拠点を置く旧王政勢力が反政府運動と連動した事例を挙げた。北朝鮮内部に大きな変動が生じた場合、西側情報機関の支援を受けて住民に直接発信する可能性についても言及した。
他方、金総書記の娘であるキム・ジュエ氏の動向については、今回の党大会で公式な役職が付与される可能性は低いとの見方が示された。金総書記自身が長期の後継教育を経た経緯を踏まえ、未成年の段階で党大会という公式の場に前面登場させる可能性は限定的であるとの分析である。
先代路線の再評価と独自路線の強調が進む中、体制の安定性と血統問題の行方は、北朝鮮の将来像を左右する要素として注視される。日本にとっても、朝鮮半島情勢の変動は安全保障環境に直結するだけに、今後の動向を冷静に見極める必要がある。













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