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2025年06月16日月曜日
ホームトレンド「第二の拠点」米中貿易摩擦で中国企業がエジプトに次々進出、安定的な環境と低賃金が生産拠点移転を後押し

「第二の拠点」米中貿易摩擦で中国企業がエジプトに次々進出、安定的な環境と低賃金が生産拠点移転を後押し

米中貿易戦争のリスク…エジプトに向かう中国製造業者たち

エジプトの安定性・低賃金・バランスの取れた外交などが理由に

引用:Shutterstock*この画像は記事の内容と一切関係ありません
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米中貿易戦争のリスクにより、中国の製造業者がアフリカのエジプトに生産拠点を移す動きが見られている。

15日(現地時間)、香港のサウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)によると、最近、中国の製造業者は米国の関税を回避するためエジプトに工場を建設し始めたという。

これは、対中関税を課したドナルド・トランプ米大統領の第1期目に、中国の輸出業者が一斉に東南アジア諸国に生産拠点を移転した状況とは異なる様相を呈している。

その理由は、東南アジア諸国も今年4月にトランプ大統領が発表した相互関税の対象に含まれたためだ。

エジプト・カイロ郊外でオートバイ部品の組立工場5カ所を運営する中国人のファン・ピン氏は、ここ数カ月で急増した中国からの投資を目の当たりにした。

彼はアフリカの新興市場へのアクセスを考慮し、7年前に中国からカイロに工場を移転した。

ファン・ピン氏は「最近はほぼ毎日、中国企業の代表団がカイロを訪れている」とし、「実業家だけでなく、中国政府の官僚が同行することもある」と語った。

最近カイロに工場を移転した企業の多くは、これまで東南アジアで工場を運営していた実業家たちだ。

ファン氏は「私が出会う企業の半数以上が、カンボジア、タイ、ミャンマー、ラオスに既存の工場を持っている」とし、「彼らはエジプトを第二の選択肢として選んでいる」と述べた。

最近、中国の製造業者の間でエジプトが注目されている理由として、まず安定性が挙げられる。

ファン氏は「アフリカのほとんどの国は常に安全とは言えず、南米はさらに混乱している」とし、「エジプトは比較的安定しており、政府は友好的で反アジア感情もない」と評価した。

エジプトの低賃金も中国の製造業者にとって魅力的だ。

エジプトの工場労働者の賃金は月100~150ドル(約1万4,423円~約2万1,636円)で、東南アジアの製造業者が現地で支払う賃金の半分にも満たない。

このようなコスト競争力により、エジプトの繊維産業は好況を呈している。

エジプト衣料品輸出委員会によると、今年1~4月のエジプトの衣料品輸出額は10億ドル(約1,442億5,249万円)を超え、前年同期比22%増加している。

繊維産業の成長は、中国企業を含む外国人投資家の関心を引きつけている。

中国の有名繊維企業「浙江キャディ産業有限公司」が1億ドル(約144億2,275万円)を投じてエジプトに工場を建設し、現地市場に進出した事例が代表的だ。この工場は今後4,500人の雇用を創出する見込みだ。

エジプトを経由して米国へ「迂回輸出」しようとする中国の繊維製造業者も多いとSCMPは伝えた。

また、エジプトのバランスの取れた外交政策も中国の製造業者を引き付ける理由の一つだ。

エジプト・アレクサンドリア中国商工会議所のディン・ユン会長は「エジプトは他国とは異なり、米国と良好な関係を維持しながら比較的バランスの取れた貿易を行っている」とし、「これは関税強化措置の対象となる可能性が低いことを意味する」と指摘した。

さらに「中国の多くの輸出業者にとって、エジプトはますます複雑化するグローバル貿易環境の中で、生命線のような存在になっている」と付け加えた。

ただし、中国の製造業者がエジプトに集中することで、主要経済地域の工場賃貸料が過去6カ月間で2倍以上急騰し、中国の大企業に押されて中小企業が苦境に立たされるという副作用も現れている。

2017年からエジプトで小型家電メーカーを運営しているジャ・シャンシェン氏は「美的(Midea)やハイアールといった中国の大企業がエジプトに進出してきた」とし、「我々もやむを得ず価格を下げて耐えている状況だ」と吐露した。

彼は自社の利益が2年前と比べて半減したとし、「中国国内の過剰生産により、企業がエジプトで価格を切り下げている」と付け加えた。

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