
英国・エディンバラ大学を中心に、米国、中国、欧州、アジアの20の研究機関と大学が参加した国際共同研究チームは、2020年代初頭の3年間にわたって世界を恐怖に陥れた新型コロナウイルスの起源が、中国南西部の雲南省とラオス北部に生息するコウモリであるとの研究結果を、先月、世界的な生命科学の国際学術誌「セル」に発表した。研究チームによると、コロナパンデミックの5年前に当該地域でウイルスが初めて確認されたという。しかし、雲南省に生息するコウモリから、別の致命的な病原体が新たに検出され、不安が高まっている。
中国雲南省エンデミック制御予防研究所、大理大学公衆衛生学部、中山大学国立感染症インテリジェント追跡・予測研究室、生物制御センター、中山大学医学部、復旦大学生命科学部、北京師範大学地理科学部、オーストラリア・シドニー大学医学部の共同研究チームは、人に深刻な脳炎や呼吸器疾患を引き起こす可能性がある致命的なニパウイルスとヘンドラウイルス、さらにこれらに密接に関連する新種のウイルスをコウモリの腎臓から発見したと28日に発表した。この研究成果は、米国公共科学図書館が発行する医学分野の国際学術誌「PLoS Pathogens」6月24日号に掲載された。
新型コロナの流行を契機に、野生のコウモリは「病原体の貯蔵庫」と呼ばれるほど、人間に感染する可能性のある多くの病原体を含む無数の微生物の宿主であることが広く知られるようになった。これまで、コウモリが保有するウイルス、細菌、真菌、寄生虫の研究は、臓器そのものよりも主に排泄物を対象に行われてきた。
研究チームは、中国南西部の雲南省5地域で4年間収集した10種、142匹のコウモリの腎臓を調査した。その結果、最新の遺伝子シーケンス技術を用いて22種類のウイルスを確認し、そのうち20種類がこれまで未発見の新種であることがわかった。
今回検出された病原体の中で最も懸念されるのは、ニパウイルスやヘンドラウイルスと同じ属に属する2種類の新種のヘニパウイルスだった。麻疹ウイルスの一種であるヘニパウイルスは、人が住む村の近くの果樹園に生息する果物コウモリから発見された。ヘニパウイルスはコウモリの尿を介して広がる可能性があり、尿で汚染された果物を通じて人に感染する恐れがある。さらに、家畜を介して人に感染する可能性も高いと研究チームは指摘している。
また、暫定的に「クロシエラ・ユンナネンシス(Klossiella yunnanensis)」と命名された新種の原生動物寄生虫と、「フラボバクテリウム・ユンナネンセ(Flavobacterium yunnanensis)」を含む2種類の新たな細菌も発見された。
雲南省エンデミック制御予防研究所のグオ博士は「今回の研究は、コウモリの腎臓に含まれる感染源への理解を深めることで、致命的な人獣共通感染症の脅威に事前に備えることができる」と述べ、「コウモリが保有する病原体の伝播リスクを正確に把握するには、これまであまり研究されていなかった臓器の包括的な分析が必要だ」と強調した。
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