
和歌山県のアドベンチャーワールドで暮らしていたジャイアントパンダの家族4頭が中国に帰国した。24歳の母親「ラウヒン」と、娘の「ユイヒン」「サイヒン」「フウヒン」の3姉妹は、先月28日に四川省・成都へと到着。長年にわたり日本で親しまれてきた「パンダ一家」に、一区切りがついた形となった。
出発前日の27日には、お別れ式が園内で行われ、約3,000人のファンが集結。一部の来場者はパンダの着ぐるみ姿で涙を流すなど、園全体が感動的な雰囲気に包まれた。長蛇の列は数時間前から続き、別れを惜しむ光景が広がった。
アドベンチャーワールドは1994年から中国との共同繁殖プロジェクトを展開し、計17頭のパンダの赤ちゃんを誕生させてきた。特に「ヒン・ファミリー」と呼ばれる一族は、世界最大級の海外人工繁殖個体群として知られている。なお、今回帰国した3姉妹の父「エイメイ」もすでに昨年帰国している。
今回の返還により、現在日本国内に残るパンダは上野動物園の双子「シャオシャオ」と「レイレイ」のみ。だがこの2頭も来年2月に貸与期限を迎えて帰国予定であり、新たな貸与が行われなければ日本からパンダが「ゼロ」になる見込みだ。
一部のファンや識者からは「中国が『パンダ外交』で日本に圧力をかけているのでは」との見方も。日本の政界では追加貸与の要請が出ているが、中国側はいまだ明確な回答をしておらず、50年続いた「日中パンダ交流」の行方に注目が集まっている。
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