小惑星リュウグウ、10億年以上経過しても水が存在…地球の水の起源に手がかり

地球を含む太陽系の岩石惑星に「水」がどのように供給されたのかについては、いまだ明確に解明されていない。小惑星が衝突して水をもたらしたとする「小惑星起源説」を裏付ける新たな研究成果が示された。
東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻の飯塚毅教授らの研究チームは、地球近傍小惑星「リュウグウ」が形成されてから10億年以上が経過した時点でも内部に液体の水が流れていた可能性を突き止め、10日付の英科学誌「ネイチャー」に発表した。リュウグウのような小惑星が、太陽系の岩石惑星に水を供給する役割を担った可能性を強く示す成果だという。

炭素や水を豊富に含む「炭素質小惑星」は、太陽系外縁の小惑星帯で最も一般的なタイプとされる。太陽系外縁の塵や氷が集積して形成されたと考えられているが、その生い立ちや特性については不明な点が多いという。
研究チームは2019年に宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「はやぶさ2」が採取したリュウグウのサンプルを詳細に分析した。放射性元素ルテチウム(Lu)176が時間の経過とともにハフニウム(Hf)176へと変化する性質を利用し、内部の流体の動きを調べた。

分析の結果、リュウグウの形成から10億年以上が経過した後も、内部の流体がルテチウムを運んだ痕跡が確認された。研究チームは、度重なる衝突による熱が氷を溶かし、岩石内部に亀裂を生じさせて流体が移動したと推定している。
研究チームは「今回の成果は、炭素質小惑星が岩石惑星に水を含む鉱物だけでなく、液体の水そのものを供給した可能性を裏付けるものだ」とコメントしている。
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